極私的オールタイムベスト50アルバム【その5】

Neil Young / Mirror Ball
Neil Young / Mirror Ball(1995年)
80年代も終わるという頃までは、世間でもニール・ヤングという人は単なるアメリカン・ロックの人という認識の方が強かったと思う。もちろん彼の音楽を聴いてきた人だったら、そんな単純な言葉じゃ済まされないと言うだろうけど、世間というか、音楽メディアの扱いがそんな感じだった。だけど90年代に入り、俗にいう「グランジ」のバンドたちがこぞって彼をリスペクトしたあたりから風向きが変わり、ニール・ヤング本人もグランジのゴッドファーザーよろしく派手に轟音を響かせていた。そんな彼をリスペクトするバンドのひとつでもあるパール・ジャムが全面的にバックを務めたのがこのアルバムで、バンド全員で参加しているのに、完全にニール・ヤングに喰われている感があって面白い。それほどこの人の芯は図太く、そう簡単に崩せないということを証明している。
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Nick Cave & The Bad Seeds / The Good Son
Nick Cave & The Bad Seeds / The Good Son(1990年)
リアルタイムで聴いた最初のアルバムがこれだった。当時のロッキング・オンのインタビューで、聞き手が「退廃的な感じがない」みたいなことを言ったら「俺のアルバムの何処が退廃的だ」「俺のアルバムが嫌いなのか」とか食ってかかっていたニックが面白いと思った。遡って聴いてみると退廃的という言葉が出てくるのも分からなくないが、本人の言うとおり、このアルバムではそういう要素は感じられない。この声と佇まいが最高にカッコいいし、代わりになるような人がいない唯一無二の存在だよね。
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Original Love / Sunny Side of Original Love
Original Love / Sunny Side of Original Love(1993年)
過去に何度も書いているが、洋楽というものを聴きはじめてから、日本のミュージシャンには何の期待も求めてこなかったんだけど、初めてオリジナル・ラブを知って入手したこのアルバムを聴いたときは「日本にもこんな音楽をやる奴らがいたのか」と驚いたものだった。「こんな音楽」とはもちろん、海外のミュージシャンとタメはれるという意味でだ。特に冒頭の「スキャンダル」1曲で俺は打ちのめされて、いまもオリジナル・ラブを追い続けているという次第である。そして、いわゆるJ-Popと呼ばれる類のものから、その他後続の日本のミュージシャンの音楽のレベルが上がったのは、田島貴男の功績がその1つでもあると信じている。
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Patti Smith Group / Radio Ehiopia
Patti Smith Group / Radio Ehiopia(1976年)
女性のロック・ミュージシャンというのは、出てきた頃こそ尖がっていたり勢いがあるけど、最終的には「女性」を前面に押し出してくると思っている中で、それをしていない数少ない存在がパティ・スミスだと思っている。もちろん、彼女にも愛する人(フレッド・スミス)がいたし、妻として母としての時期もあったけど、その時ですら力強いメッセージを発信していたし、長いキャリアにおいてまったくブレがない。最初に夢中になったアルバム『ラジオ・エチオピア』はファースト・アルバムの『ホーセズ』のサウンド・プロダクションの貧弱さを反省に、ハードロック的な音づくりになっていることから力強さを感じる。前作の個人名での発表から、グループ名義にしたのも正解だと思う。
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Peter Frampton / Frampton Comes Alive!
Peter Frampton / Frampton Comes Alive!(1976年)
これもたぶん何度も言ってるが、ピーター・フランプトンのイケメンなルックスと、当時全米で800万枚も売れたモンスター・アルバムだったこともあって、コアな音楽ファンには黙殺されがちなこのアルバムは、いまももっと評価されてもいいと思う。60年代にザ・ハード、70年代前半にハンブル・パイを経てソロになってから、この2枚組ライヴ・アルバムを出すまでのピーターはヒットに恵まれなかったが、ライヴを地道に続けることで徐々に評判を呼び、いいタイミングでライヴ・アルバムを作ったと思う。プロモーションも功を奏しただろうけど、内容が良いから売れたんだよ。特にアコースティック・セットでは観客の声を大きめに広い、ピーターとの一体感をうまく出している作りが憎いね。
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