Kate Bush / The Dreaming(1982年)
ケイト・ブッシュのアルバムは駄作がないからどれも良いんだけど、このアルバムはけっこう「イッちゃってる」なと思える1枚。スタジオ録音における偏執狂的な面が前面にでてきている感じは、いま風にいうなら「こじらせている」ってことなんだろうけど、こんな世界を作り出せる人は滅多にいないし、ビョークがそれに近いものを持っているかもしれない。ちなみに2曲目の”There Goes a Tenner”というタイトルの「10ポンド紙幣が1枚」という邦題がとても好き。この曲はウェールズだかどこだったかの「訛り」を交えて歌っているらしいけど、英語はどれも同じに聴こえるからわからない。あとはB面のタイトル曲から”Night of The Swallow(「夜舞うつばめ」)”への流れが最高。
King Crimson / Starless and Bible Black(1974年)
俺にこのアルバムが「良い」と教えてくれたのは、学生時代のネイティヴの先生だった。90年代になってクリムゾンを聴くようになったが、当初は『宮殿』や『太陽と戦慄』だけで、もうちょい後になってからこのアルバムを聴いた。ヴォーカル曲はスタジオ録音だが、その他のインプロヴィゼーションは1973年のアムステルダム公演での音源が主であることが今では判明しているが、そのライヴ録音となるタイトル曲と”Fracture”の破壊力は、俺にこのアルバムを最高と思わせるに十分すぎるぐらいだった。それにしても、クリムゾンの楽曲を聴いていると、ものすごーく静かなところからいきなり驚かすような轟音になだれ込むパターンって多いよね。
関連記事:キング・クリムゾン / クリムゾン・キングの宮殿 – 1AB
Led Zeppelin / Led Zeppelin(1968年)
レッド・ツェッペリンの1stについても、過去に長々と書いているのでそちらをご覧ください。
関連記事:レッド・ツェッペリン / レッド・ツェッペリン – 1AB
Lou Reed / Metal Machine Music(1975年)
当時LP2枚組、片面に16分間のノイズが1曲、合計4曲が入っているが、昔読んでいた雑誌かロック関係の本で「同じノイズが4曲」と書かれていた。これを書いた人は間違いなく4曲通して聴いていないか、相当耳の悪い人なんだろうと思う。俺は年に何度かこのアルバムを通して聴いているが、例えば電車の中で聴いていると、イヤホンの外から聞こえる駅のアナウンスや、近くにいる人たちの会話や、電車の音などのほうがよほど鬱陶く思える。そんな喧噪のなかで聴く『メタル・マシン・ミュージック』はある種のアンビエント・ミュージックのようだし、もちろん静かな部屋で聴くのも心地よさを感じる。でも言っておこう、ルー・リードのアルバムの中でこれをいちばんに挙げるような人は総じてキチガイだと思ってよい。
Madonna / Madonna(1983年)
マドンナのディスコグラフィを並べてみると、ファースト・アルバムだけはどこか浮いているように思える。まだあか抜けない田舎のねーちゃんって雰囲気と、(行ったことがないのであくまでもイメージだけど)ニューヨークの一角で流行ったストリートダンスをイメージさせる楽曲。そして何よりも2枚目の『ライク・ア・ヴァージン』以降の計算しつくされた感がここにはまだ無いのが初々しくて良い。マドンナなんて名前からも、短命で終わる人だろうなんて高校生ながらに思っていたが、まさか2015年の今も第一線で活躍しているなんて想像すらしなかったものだ。