極私的オールタイムベスト50アルバム【その1】

Beastie Boys / Paul's Boutique

Beastie Boys / Paul’s Boutique(1989年)
ビースティ・ボーイズの2枚目となるアルバム。1st”Licensed To Ill”は白人がヒップホップをやるということと、しかしどこかバカバカしさがあったことが衝撃的だったが、このアルバムではダスト・ブラザーズをプロデューサーに迎えてものすごく真面目なヒップ・ホップ・アルバムを作っている。これが出た当時、たぶんロッキング・オンだったと思うけど「何真面目になってるの」的なことが書かれていた記憶がある。俺も当時は1stみたいなのを期待していたから、正直印象は薄かった。だけど数年経って聴いて、サンプリングの宝庫とも言える作りに気が付いてとても好きになった。そう、1つの曲に10曲ほどサンプリングしているとか、後に「ビズ・マーキー事件」が起こる前の無法サンプリングとも言えるお手本のようなアルバム。2枚目でしっかりヒップ・ホップしておいて正解だったなと思うし、もし1stの路線だったらきっと一発屋で終わっていたかもしれないなって思う。余談だけど、3年後に出た3枚目”Check Your Head”を聴いて思ったのは、彼らラップが上手くなったなってことだった。
過去記事:ビースティ・ボーイズ / Paul’s Boutique – 20th Anniversary Edition


The Beatles / Revolver
The Beatles / Revolver(1966年)
最初に買ったビートルズのアルバムがこの”Revolver”で、中学2年生の頃。なぜこれを選んだかというと、「イエロー・サブマリン」が入っていたからという、ただそれだけの理由だった。当時から初期の「イエーイエーイエー」的なアイドル的要素のある曲が好きじゃなかった俺にとって、この”Revolver”は一味違ったビートルズに思えた。時が経ち、ビートルズについていろいろ本を読んだり、アウトテイクなどのブートもたくさん聴いてきたが、なぜかこの”Revolver”のアウトテイクだけは聴く気になれない。この完璧な作りのアルバムの隙を見つけたくないから、”Anthorogy”収録のいくつかだけで十分だと思っている。

Beck / Odelay
Beck / Odelay (1996)
実はこのアルバムはリアルタイムではスルーしていた。しかし後にあるきっかけで聴くようになり、ベック・ハンセンという男の頭の中にはどういう音が詰まっているんだろうという疑問と興味をもってこのアルバムに接してきた。前作”Mellow Gold”があんなフォーキーなアルバムだったのに、なんでこんなサンプリングだらけの音が作れたのだろうと不思議だった。ビースティ・ボーイズの”Paul’s Boutique”同様にダスト・ブラザーズによるプロデュースだから?いやでもこのような楽曲の展開に持って行けるベックの頭もぶっ飛んでなと、当時は思ったものだ。”Devil’s Haircut”や”Where it’s at”のようなライヴ定番曲以外のほうに聴きどころが多いと思っている。そして間違いなく、90年代の音楽を一時期でもリードしていたなと。
過去記事:【イマコレ】ベック / Odelay

Ben Folds Five / The Unauthorized Biography Of Reinhold Messner
Ben Folds Five / The Unauthorized Biography Of Reinhold Messner(1999年)
80年代から90年代最初にかけて、ソニック・ユースやダイナソーJr.等を聴いてはいたが、イギリスのマンチェスター辺りから出てくるバンドとそこからのブームが嫌いでしょうがなかった。どいつもこいつもギターをシャカシャカ鳴らしやがってと。だからおのずとそういうシーンから遠ざかってしまい、90年代については何の思い入れも無かった。そんな90年代が終わるころになって、たまたま98年のフジロック(WOWOWで放送したもの)で見たベン・フォールズ・ファイヴにはやられてしまった。こういう奴らを求めていたんだと。ギターがいないってところが俺にはツボだったのだ。1998年だからもちろん後追いで、この邦題『ラインホルト・メスナーの肖像』からリアルタイムだった。1stや2ndと比べるとインパクトは薄いかもしれないし、内省的で、当時のファンも若干不満だったようだが、このダウナーな感じが今でも好き。当時、まだWeb上には無かった彼らの(日本語の)ファンサイトを作ったのは俺が最初だった。聴きはじめて3か月しか経っていなかったのに。再結成も嬉しかった。
過去記事:ベン・フォールズ・ファイヴの思い出

Blondie / The Best Of Blondie
Blondie / The Best Of Blondie(1981年)
基本的にこういう企画にはベスト盤の類は含めないようにしているのだが、ブロンディのこれだけは別格。中学生の頃に彼らを知って、ずっとFM番組で録音したテープを聴いていたのを、高校生の頃にある貸しレコード屋(わかる人にはわかる)が閉店するにあたってLPを1枚500円で処分していた。その時に入手した1枚がこれで、それ以来ずっと愛聴してきた。これがきっかけで、オリジナル・アルバムもLPで集めてきたが、何故かいまだに『恋の並行線(Parallel Lines)』だけを持っていない。ブロンディは60’s のポップ・ミュージックから、ディスコ、ラップとその幅を広げながら大衆を掴むキャッチ―さもあると思っている。21世紀になって「ハート・オブ・グラス」が車のCMに使われた時に、そのことをここに書いたらアクセスが非常に多かったのもそういうことだと思う。
過去記事:TOYOTA アクアのCMにブロンディの曲が