David Bowie / I’m Only Dancing (The Soul Tour 74)
レコード・ストア・デイのアイテムとして、デヴィッド・ボウイの1974年のライヴ盤がリリースされていた。これはぜひ聴きたいと思っていたのに、HMVのサイトを見たら「限定盤」でありすでに完売となっていたのだが、タワーレコードで取り置き予約ができたので無事ゲットした。
このライヴ盤は、1974年は6月にダイヤモンド・ドッグス・ツアーとして始まった後に、同年の後半にはフィリー・ドッグス・ツアーとかソウル・ツアーとタイトルが変わっていったのだけど、その最終章であるザ・ソウル・ツアーから10月20日のデトロイト公演を主に、ラスト2曲だけは11月30日のナッシュヴィル公演の音源をまとめたものである。
この年のライヴはこれまでに “David Live” としてリリースされたものと、2017年のレコード・ストア・デイにリリースされた “Cracked Actor” という2種類のライヴ盤があって、前者は1974年7月、後者は9月、そして今回の “I’m Only Dancing (The Soul Tour 74)” が10月ということで、1974年のツアーがどのように変わっていって、後の『ヤング・アメリカンズ』に繋がっていくのかが垣間見えるものとなった。
曲目を載せておく。
Disc1
- Introduction: Memory Of A Free Festival
- Rebel Rebel
- John, I’m Only Dancing (Again)
- Sorrow
- Changes
- 1984
- Moonage Daydream
- Rock ‘N’ Roll With Me
- Love Me Do/The Jean Genie
- Young Americans
Disc2
- Can You Hear Me
- It’s Gonna Be Me
- Somebody Up There Likes Me
- Suffragette City
- Rock ‘N’ Roll Suicide
- Panic In Detroit
- Knock On Wood
- Foot Stompin’/I Wish I Could Shimmy Like My Sister Kate/Foot Stompin’
- Diamond Dogs/It’s Only Rock ‘N’ Roll (But I Like It)/Diamond Dogs
すでにリリースされている “David Live” や “Cracked Actor” の流れを汲んでいるはずなのに、これはもう別物のツアーなんじゃないかというぐらい雰囲気が違う。ツアー名の通りソウルにどっぷりと浸かっているボウイの様子が感じられる。コーラスやホーンが黒っぽさをさらに醸し出している。
そしてまだ発売されていない『ヤング・アメリカンズ』に収録される曲も披露されていて、このライヴを目の当たりにした人たちはボウイの変貌に戸惑ったんじゃないかと思ってしまう。前年はまだジギーだったわけだし。
さて、曲目を見ると「おや!?」と思うものがいくつかある。まずオープニングの “Memory Of A Free Festival” だが、これはボウイのバックを務めていたマイク・ガーソンのバンドが前座として30分ほどプレイしていて、その中の1曲で披露している。女性ヴォーカル(ボウイの時はコーラス)によるもので、この曲の終わりにボウイが紹介されて本編が始まるという流れだったようだ。
他にも “Sorrow” なんて他のライヴでは聴いたことがないし、”The Jean Genie” の前にビートルズの「ラヴ・ミー・ドゥ」をイントロ的に導入していたり、他ではちょっと聴けないセットリストなところが良い。ラストから2曲目の “Foot Stompin'” は “Fame” のプロトタイプ的な曲と言ってもいいだろう。余談だけどマイク・ガーソンのバンドでは “Funky Music” というタイトルの曲がプレイされていて、これはまんま “Fascination” だった。
これはボウイのアーカイブに残っていた音源らしいが、よくぞ残っていてくれたと。この時期の音源であれば、いくつ出ても構わないのでもっと出してもらいたいね、ついでに1976年のツアーの音源も。
