※イマコレ=「今ごろコレ聴いてる」「今まさにコレが俺にキテル!」的なアルバムなどをピックアップして紹介します。
ひょんなことから久々にピチカート・ファイヴを何枚か聴いていた。この『さ・え・らジャポン』21世紀になったばかりの2001年1月1日にリリースされたアルバムであり、彼らはその年の3月31日に解散したので、最後のオリジナル・アルバムである。
- 一月一日
- nonstop to tokyo
- 君が代
- さくらさくら
- 現代人
- キモノ
- Fashion People
- アメリカでは
- ポケモン言えるかな?
- グランバザール
- 12月24日
- スキヤキ・ソング
- 東京の合唱
- さえら
- 大東京
- 愛飢を
このアルバムには、松崎しげる、雪村いずみ、デューク・エイセス、スパークス、コーデュロイ、ユウ ザ ロック★、クレモンティーヌ、ロケットマン、イマクニ?、スクーターズ、ベルトラン・ブルガラ・・・といった人たちが歌や声で参加していて、野宮真貴が唯一単独で歌っているのは「現代人」のみで、他の曲は上記ゲストによるヴォーカルもしくは野宮とデュエットとか、そんな感じで、野宮真貴のヴォーカルを期待して聴くと最初はガッカリするかもしれない。リリース当時の俺がまさにそうだった。
ところが、何度か聴いていくうちにこのアルバムが好きになってきた。それは前作『ピチカート・ファイヴ』や前々作『プレイボーイ・プレイガール』ではピチカート・ファイヴというブランドをただ踏襲しているようで、マンネリすら感じていたのだが、この『さ・え・らジャポン』はこれまでのトーキョーからジャポンへ視野を広げ、まるで外国人向けのガイドブックみたいな世界が展開されていくからだ。そう考えると多くのゲスト参加も納得いく。
そしてそのゲストたちは強烈な個性のある人たちばかりなのに、ピチカート・ファイヴという枠からはみ出たりせず、ブランド力アップに貢献している。まるで前から自分もブランドの一部ですよと言わんばかりに。小西康陽はゲストの力を借りたことでこれまでにない素晴らしい作品ができたと感じたようで、解散するならいましかないと決めたそうだ。
確かにこの後もピチカートが継続したとしても、このアルバムを超えることはできないだろうなって生意気にも俺は思ったものだ。それから約20年経ったいま聴いても、その思いは変わらない。
でもこれからピチカート・ファイヴを聴いてみようという人には最もオススメしないアルバムだね。そりゃ言うまでもないでしょ、野宮真貴のヴォーカルを堪能してからだよ。