The Rolling Stones / Exile on Main St.
ローリング・ストーンズの『メインストリートのならず者』といえば、今では彼らの最高傑作のひとつに挙げられているけど、それは90年代以降になってからの話だと記憶している。俺がこのアルバムを知った80年代半ばの時点では、「散漫」とか「メリハリの無いアルバム」だの、多少言葉のニュアンスは違うが、そんなような評価が多かった。年月を経て評価が変わってきたのは何故だろう?
そんなことを考えたことがあったのだが、「音楽的なこと以外」にその理由があるような気がしてならなかった。それはどんなことかと言うと、まずは昔抱いていたイメージでこのアルバムの特徴を挙げてみる。
1.曲数が多い
2.その割にはトータルで70分
3.全体的にゆるい
まず1。このアルバムはリリース当時はLPで2枚組、18曲入りだ。レコーディングした曲を全部出しましたという感じがして、どうせなら曲を絞って10曲ぐらいにすればよかったのにと思ったものだ。
2はそのまんま。80年代はまだカセットテープの時代。後に70分テープとかも登場したけど、80年代前半ぐらいまで、カセットテープといえば46分、60分、90分の3種類がメインで、そうなるとトータル70分弱のこのアルバムをどのテープに入れようかということになってしまい、片面10分ぐらいは余ってしまう90分テープを選ばざるを得ない。なんとも中途半端な長さのアルバムだった。
そして3なんだけど、このアルバムを聴いた当初はつかみどころが無くて全体的にみても起承転結のような流れが感じられなかった。そんな状態が18曲、70分近くもつづくわけだから、ついつい「散漫」と思ってしまった訳なんだよね。これが90年代以降、LPからCDに移行していくにつれて、実はこのアルバムが思いっきり「CD向け」ということに気づかされた。曲数の多さに関しては、今じゃ1枚のアルバムに15曲ぐらいは余裕で入っているし、70分弱なんてのはまさにCDにうってつけで、今じゃ長いとか思わない。そして、今や聴きたい曲だけをピックアップして聴くこともしやすくなり、何もアルバムの最初から順番に聴く必要もなくなって、逆に1曲1曲の良さに気づくことができた。
昔は『スティッキー・フィンガーズ』ばかり聴いていたが、あのアルバムは「ブラウン・シュガー」から順番に曲を聴くべきアルバム。だけど『メインストリートのならず者』はシャッフルしてどの曲から聴いてもかなり楽しめる(是非いちど試して欲しいね)。だから起承転結などはもはや求めなくてもいいと思うのです。「ロックス・オフ」から始まるのがいちばんカッコイイのは否定しないけどね。
そうやって考えると、俺の耳には実に今風なアルバムに聴こえるんだよね。
そうは言っても、このアルバムの90年代以降の評価の上がり方は何なんだろうね。あまり深く追求したことはないから未だによくわからないけど。あとはこれで『アンダーカバー』の評価がもっと高まれば最高なんだけどね。(好きなアルバム3枚挙げるなら、あとは『ベガーズ・バンケット』)
コメント
アンダーカバーもいいよね!
ストーンズのリアルタイム体験はアンダーカバー辺りだから、思い入れたっぷりよ。高校受験前に発売されたと記憶してるけど、ウォークマンで聞きまくったなー。(ミュージックテープで買った)
あとはStill Life。A列車で行こうってストーンズの曲だと思ってた、当時(笑い)
俺もリアルタイムが『アンダーカバー』だったから思い入れは深いよ。今聴いてもかなり攻撃的だと思うし、過小評価がつくづく残念。
中学生ぐらいだとどの曲もオリジナルだと思っちゃうよねw