【イマコレ】レニー・クラヴィッツ / サーカス

Lenny Kravitz / Circus

Lenny Kravitz / Circus

※イマコレ=「今ごろコレ聴いてる」「今まさにコレが俺にキテル!」的なアルバムなどをピックアップして紹介します。

去年の年末から今年頭にかけて、レニー・クラヴィッツのアルバムを集中的に聴いた。きっかけは前々回で書いたレコード・コレクターズ1月号の「ロック史に残る91年」の特集で、『ママ・セッド』が載っていたのを見たからだ。

俺はレニー・クラヴィッツといえば『ママ・セッド』か『自由への疾走(Are You Gonna Go My Way)』で、この2枚は当時とてもよく聴いた。そしてその熱が冷めたのが今回取り上げる4枚目のアルバムとなった『サーカス』だった。

最初の3枚のアルバムでは60年代70年代のロックやフィリー・ソウルへの敬意を払いつつも、懐古主義だけにならない、まさに90年代のあの頃に相応しい雰囲気も醸し出していたと、俺は思っている。

しかし、『サーカス』はホーンを入れず、できるだけオーバーダブをしないロック・アルバムなんて作りになっていたことから、逆に古臭く感じてしまい、こんなんならレッド・ツェッペリンを聴いていた方がいいわと思って、当時は買って数回ぐらいしか聴かずに終わってしまった記憶がある。それと冒頭の「ロックンロール・イズ・デッド」という曲名も良くない。なにそのいかにもな感じのタイトルで、なのにツェッペリンばりのギター・ソロまで入ったロック曲は、とも思ったものだった。

そのせいか、このアルバムはいちどもiTunesにインポートしたことがなくて、今回改めて聴きなおしてみようと2021年も終わるころになってようやくインポートして聴いてみた。

そしたら過去に抱いていた感想とは逆に、結構いいじゃんという手のひら返しになった。『ママ・セッド』を聴くために始めた行為が、いつのまにかこのアルバムを聴くことに時間を費やすようになり、何で昔あれほどまでに拒絶してたんだろうと考えてしまった。

恐らく、このアルバムあたりから日本では空前のレニクラブームになって、一気にメジャー感がでてしまったのが、当時の俺には気に食わなかったのだろう。「ロックンロール・イズ・デッド」じゃねえよ、「フィールズ・オブ・ジョイ」(『ママ・セッド』収録曲))だよ!とか思ってたのだろう。聴きなおしてみるものである。

『サーカス』は前述したように、オーバーダブを極力排したロック・アルバムである。これがいまとなってはかなり潔いというか、全部のアルバムを聴いているわけではないので断言はできないが、彼のアルバムの中では最もストレートなタイプのアルバムかもしれない。

そんなわけで、俺はいまレニー・クラヴィッツの再評価中なのである。直近3枚ぐらいは聴いていないので、気分が落ち着く前に聴いておかないと。

 

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