Jaco Pastorius Big Band / TWINS I & II – Live in Japan 1982
※イマコレ=「今ごろコレ聴いてる」「今まさにコレが俺にキテル!」的なアルバムなどをピックアップして紹介します。
この「イマコレ」でジャコを取り上げるのは2回目ですね。今回は1999年にリリースされた1982年の日本公演でのライヴ盤 “TWINS I & II – Live in Japan 1982” です。
1982年にジャコはウェザー・リポートを脱退し、ビッグ・バンド・スタイルの音楽の構想を練った。そうしてリリースされたのが “Word Of Mouth” というアルバムで、日本では評判が良かったものの、アメリカでは初回プレス分をさばくのが精一杯だったようだ。これがもとでワーナーはジャコの次のアルバムとなる予定だった “Holiday For Pans” には興味を示さなかったとか。
一方でジャコはアルバムと同名のバンド「ワード・オブ・マウス」を率いて来日し、オーレックス・ジャズ・フェスティバルに出演。その時のライヴを録音して “Twins I” と ”Twins II” という2枚のアルバムとして日本限定でリリースされた。ジャコとしてはこの2枚をワールドワイドにリリースしたかったのかもしれないが、ワーナーはそれを1枚ものにジャコに編集させて “Invitation” というタイトルでリリースした。
そんな経緯だったので、俺も最初に聴いたのは “Invitation” だったが、1999年に “Twins I” と ”Twins II” を2枚組のCDで “Twins I & II ‐ Live In Japan 1982” として再発したもので初めてこの時のライヴをフルで堪能したのだった。
このアルバムは、先にも書いたように1982年、オーレックス・ジャズ・フェスティバルに出演した際、9月1日の日本武道館、9月4日の大阪フェスティバルホール、そして9月5日の横浜スタジアムの3カ所から選りすぐった演奏をまとめたものだ。このときジャコをリーダーとした総勢20名にも及ぶビッグ・バンドで、ドラマーにはピーター・アースキン、パーカッションがドン・アライアス、トランペットがランディ・ブレッカーにサックスがボブ・ミンツァー、そしてスティールパンにオセロ・モリノーを従えているのだから豪華。さらにはトゥーツ・シールマンスがゲストというのだから、当時の客たちはずいぶん良い思いをしたんだなと羨ましくてしょうがない。
Twins I & II ‐ Live In Japan 1982 (CD1)
- Invitation
- Soul Intro / The Chicken
- Continuum
- Liberty City
- Three Views Of a Secret
- Sophisticated Lady
Twins I & II ‐ Live In Japan 1982 (CD2)
- Amerika
- Okonkole’Y Trompa
- Reza / Giant Steps / Reza
- Elegant People
- Twins
- Pac-Man Blues (Fannie Mae)
- Eleven
楽曲はジャコのオリジナルと他人の曲が半々。”Invitation” には収録されなかったジャコの “Three Views Of A Secret” や、ようやくフルサイズで聴くことのできる “Liberty City” 、ウェイン・ショーターの曲 “Elegant People” が個人的には気にいっている。俺はジャコを聴くまで、ビッグ・バンド・スタイルな音楽は好きじゃなかったんだけど、このアルバムのおかげですんなり入り込むことができたんだよね。しかも音が良い!ジャコのベースもよく聴こえるし、楽曲もバラエティに富んでますよ。でも一貫性が感じられるのがさすが。
ありきたりな言い方だけど、もしジャコが生きていたら今はどんなことをやっているんだろうなと。その後のスティールパンをフィーチャーした音楽なんて、ジョー・ザヴィヌルとは違った形でワールド・ミュージックの先駆けをいってたかもしれなかったよねぇ。