Queen / Innuendo
11月24日はフレディ・マーキュリーの命日だ。1991年の11月の終わりごろの話。バイト先の仲間が「フレディ・マーキュリーってエイズだったんだね」と話かけてきた。俺は『何を言いだすんだ、急に・・・』と思った。もちろんそんなのは信じていなかったので、「へぇ、そうなの!?」とか適当に返事をした。「だから死んじゃうんだよ」とその彼は続けたが、それも戯言と思い、俺は鼻で笑っただけだった。
その数日後の深夜テレビ(多分CNN)の中で「今週の出来事」の1つとして、フレディの死を伝えていた。それを見た俺はビックリして、夜中にも関わらず友人に電話をかけた。「知らなかったの?」と軽く言われたが、そのときの俺はたったいま知った事実に呆然としてしまった。2階の部屋で弟が起きていたので、彼にもフレディの件を伝えたら「知ってると思ったよ」と言われた。何で知らなかったのだろう!?今考えると・・・・。
『イニュエンドウ』は発売当時、「ボヘミアン・ラプソディ」を彷彿とさせるタイトル曲が何かと話題になっていたが、俺は二番煎じな曲はもはやいらないと思っていたのでさほど注目はしていなかった。だけどそのことを抜かすとこのアルバムはこれと言って特徴の無いものに思えた。全体的な印象がとにかく暗かったのだ。
「何今さらショー・マスト・ゴー・オンなんて言ってるんだ!?まだまだバンドを存続する意志があるってことか。」と思ったものの、今までのどのアルバムよりもきっちりと完結してるような雰囲気がちょっとだけ気になっていた。
だけど最初、このアルバムはレンタルCDで借りてきてテープに録音しただけ、あまり聴くこともなく一聴した感想などすぐにどこかへ消えてしまっていた。今となってはいつこのアルバムを買ったのかは覚えてない。フレディが死んですぐだったか、もうちょっと後だったのか。いづれにせよ、今聴いてもやはり最初に聴いた時と同じ感想が出てくる。
「きっちりと完結している・・・」
フレディを始め、他のメンバーもこれが最後と覚悟を決めていたのだろう。
レコード・コレクターズでは「クイーン版アビー・ロード」なんて書いてあったがまさにそんな感じだ。随所に生への希望を歌っている曲もあれば、過去を回想したような曲もある。フレディがかわいがっていた猫を歌った曲もある。とてもエイズに冒されて苦しんでいるとは思えない力強いヴォーカル。しかしこのアルバムにおけるフレディは他のアルバムよりも姿がぼやけているような感じもする。彼がいなくなってもう17年(※2008年時点)も経つのに今もこのアルバムだけは生々しい。
レコード・コレクターズにはこのアルバム評の最後にこう締めている。
このアルバムは後期の最高傑作である。エイズに冒された身体に鞭打ち遺作を完成させたフレディの音楽家魂と、不仲説をはねのけるように彼の最後の花道に色を添えたメンバーの愛情には敬服するしかないだろう。
全く同感である。巷に溢れるクイーンのベスト盤しか聴いてなくて、このアルバムに向き合ってない人は、ぜひとも聴いて欲しいものだ。