スティーリー・ダン、デビュー時のこととか

Steely Dan

今度はスティーリー・ダンのデビュー時のことでも書いておこう。ゲイリー・カッツと知り合ったフェイゲンとベッカーは、カッツがABCレコードに入ると同時に、同社の専属ライターとして契約することになった。しかし「歌詞が変」ってことでなかなか2人の曲は使ってもらえないという、ニューヨークにいた頃と同じような状況にあった。しかしこの時にはすでに自分たちのバンドを結成することを画策していたという。

しばらくはABCレコードの専属ライターの「ふり」をしていたが、かつての知り合いであったデニー・ダイアスとニューヨークにいた時にカッツから紹介されたジェフ・バクスターを呼び寄せた。ダイアスは2人がロサンゼルスに行くことを知っていて、いつか連絡がくるのをひたすら待っていたらしく、その間は洗車のバイトなんかをしてしのいでいたらしい。そしてドラマーはバクスターの推薦によってジム・ホッダーが入ることとなって、いよいよバンドとしての体裁が整ったのだが・・・、フェイゲンがヴォーカルをやりたがらないという問題が残っていた。

彼は自分の音域の狭さを気にしていて、さらにはフロントに出るタイプじゃないということで歌うことを拒否していたが、それまでのデモテープの中でフェイゲンによるヴォーカルを聴いていたカッツやABCレコードのスタッフたちはフェイゲンが歌うものだと思っていたそうだ。そりゃそうだよね。

さて、彼らのデビュー・アルバムは”Can’t Buy A Thrill(『キャント・バイ・ア・スリル』)” だが、その前にシングルを録音している。”Dallas” という曲と”Sail The Waterway”の2曲で、前者はジム・ホッダーがヴォーカルで後者がフェイゲン。この2曲はシングルのA面B面としてリリースされたが、「スティーリー・ダンらしくない」とレコード会社の判断によって即座に回収されてしまったし、ラジオでもかからなかった。

かつて日本だけでリリースされた”Steely Dan”という山口小夜子をジャケットに使った編集アルバムがあって、その中に上記2曲が収録されているが現在では入手困難ですね。CD時代になってからはいちどもリリースされていない。曲はカントリー風なタイプで、”Sail The Waterway” は後にPOCOがカバーしているということからも、どんな感じか想像がつくのではないかと思う。

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