極私的オールタイムベスト50アルバム【その2】

Caetano Veloso / Estrangeiro
Caetano Veloso / Estrangeiro(1989年)
いわゆる「ラテン・ミュージック」と言われるものは父親が持っていたカセットテープなどでちょっとだけ聴いていたが、特定の誰かを聴くようなことはなかった。それがふとしたきっかけでカエターノ・ヴェローゾの名を知り、2000年前後に個人サイトを持っていた時にネット上でのお知り合いがブラジル音楽を紹介していて、その時に勧められたのがこの”Estrangeiro”というアルバムだった。アート・リンゼイのプロデュースというところも興味深く、いかにもそれっぽいギターがかっこいいのと、カエターノの声や楽曲の良さもあって一気に引き込まれた。ここからMPBやボサノヴァ、サンバとブラジルを辿っていくようになっていった。2005年の来日公演はとても素晴らしかった。あと1度ぐらい日本に来てほしい。

David Bowie / Low
David Bowie / Low(1977年)
リアルタイムは”Let’s Dance”で、その後のボウイの活動にはなんだか一貫性を感じなくなりすぐに聴かなくなってしまった。世間がLPからCDに移行し始めたときに、ボウイのアルバムはRCAからいくつかがCD化されているだけで、90年代になって徐々に再発されていった。イーノがプロデュースした本作は傑作に違いないと、聴く前から決めつけていたが、その思いは今も変わらず。アナログでA面にあたるポップさと、B面の退廃さはボウイの才能が集結されたものだと思う。キュアーのロバート・スミスがティン・マシーンを率いていたころのボウイをして「ボウイなんて『ロウ』を出した後に車に轢かれてしまえばよかった」と発言したのも頷ける。好き嫌いは置いといて、ボウイを聴くならこれはマストだと思う。

Donald Fagen / The Nightfly
Donald Fagen / The Nightfly(1982年)
このアルバムについては、過去に長々と書いたことがあるのでそちらを参照していただきたい。ここでは一言だけ「世紀の傑作だ」と言っておこうか。
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Electric Light Orchestra / Time
Electric Light Orchestra / Time(1981年)
初めて買ったLPレコードは中学1年の冬のことで、このアルバムがそれだった。当時日曜の朝に聴いていたポップスベストテン的な番組で、このアルバムに収録されている”Hold On Tight”が流れて気に入ったからだ。1980年代前半において、ここに収録されている楽曲はどこか未来的な響きを感じたものだった。そして中学生にも分かりやすいタイプの音楽だった。久々に聴いてみたけど、冒頭の”Twilight”(「電車男」のオープニング曲と言えば分るかもしれない、不本意だけど)から”Yours Truly, 2095″への流れなんかはいま聴いてもゾクゾクくる。

Fiona Apple / Extraordinary Machine
Fiona Apple / Extraordinary Machine(2005年)
フィオナ・アップルの3枚目のアルバムは当初、2003年にリリースされるはずだったが、レコード会社が「コマーシャルじゃない」とかいう理由でリリースを拒否したなんてニュースがあった。その後、”Free Fiona”と称したアルバムリリースのための署名みたいなサイトも立ち上がり、結局は2005年になってからこの”Extraordinary Machine”はリリースされた。実は再レコーディングしていたとか、そんな話もあって、あの”Free Fiona”は何だったのか個人的には謎である。何はともあれリリースされたこのアルバム、それまでの2枚のアルバムよりも曲はよく練られて聴きやすさが増したと思っている。寡作でデビューしてから約20年で4枚のアルバムしかないが、その存在感は大きくて、単なる女性シンガーの域を超えている。
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