R.I.P. ジョアン・ジルベルト(1931-2019)

ジョアン・ジルベルトが亡くなった、88歳。つい先日近影を見て、かなり痩せてしまったけど元気そうでなによりと思ったばかりなのに。

言うまでもない、ボサノヴァの神様。この人こそがボサノヴァ。初来日公演はいまでも忘れられない、2003年9月12日の東京国際フォーラム。開演時間になっても一向に始まる気配なし、あのころはまだジョアンが気難しくて機嫌が良くないとライヴも平気でドタキャンするなんて話もあって、あの会場にいた誰もが本当に始まるのだろうかという不安を抱きながら席にいたと思う。

開演時間が過ぎてから「ただいま、アーチストはホテルを出発しました」だの「まもなく到着します」なんて場内アナウンスがあって、そのたびに会場の緊張感がほぐれていった。そしてついに本人が登場。

「コンバンハ」ととても小さな声で挨拶をし、あとはひたすらヴィオランと声だけであの場にいた我々を魅了した。とても5000人もいる会場とは思えないぐらい我々は静かにジョアンの声とギターに耳を傾けた。

ライヴでとてつもない緊張をしたのはあの時が唯一と言ってもいい。翌2004年も観に行ったが、いろいろな要素を含めてやはり初来日公演が今でも心に残っているし、俺がこれまでに観たライヴでこれを凌駕するものは今後も無いと思う。

そんなジョアンが、ついに天国に旅立ってしまった。本当に神様になってしまった。そう、ジョアンは生前からボサノヴァの神様と言われていたんだから、そんなジョアンが地上にいたのか天にいるのかの違いに過ぎない、そう思えば悲しみもそう深くはならないだろう。

だから俺はこれからも変わらずジョアンの音楽を聴き続ける。

これまでに書いてきたジョアンのことを以下にまとめておきます。

本当にボサノヴァの入門盤なのか?
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Joao Gilberto 1961年にリリースされたジョアン・ジルベルトの3枚目のアルバムが再発されていた。デビューが1959年だったから、1年に1枚のペースで出していたってことだね。
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『ジョアン・ジルベルト ライヴ・イン・トーキョー』の映画
渋谷Bunkamuraのル・シネマにて、『ジョアン・ジルベルト ライヴ・イン・トーキョー』を観てきた。