Suchmosの2年ぶりとなるアルバムがリリースされた。俺は前作のミニ・アルバム『THE ASHTRAY』から今回のアルバムにかけての彼らの動きについては、NHKの紅白を見たぐらいで、特に今回のアルバムに紐づくあれこれについては特に気を留めていなかった。
あれこれというのは、まず今年早々にJ-Wave開局30周年のテーマ曲として「Water」を配信リリース。そしてアルバムに先駆けて「In The Zoo」のPVを公開といったようなことである。アルバムも春に出ると知っていたが、てっきり4月だと思っていて若干乗り遅れてしまったぐらいだ。
そしてCDが届くのが待ち遠しいので、先にSpotifyで聴いたのだが・・・またとんでもないアルバムを出してくれたなというのが最初の印象。もちろんこれは大変ポジティブな意味でだ。
全12曲、トータル70分超え。
- WATER
- ROLL CALL
- In The Zoo
- You Blue I
- BOUND
- Indigo Blues
- PHASE2
- WHY
- ROMA
- Hit Me, Thunder
- HERE COMES THE SIX-POINTER
- BUBBLE
昨今は1曲がコンパクトになり、アルバムもトータルで30分ちょっとなんて作品が多くなっているようだが、それとは逆行するかのように1曲が長い。ほとんどの曲が5分以上あり、8分台や11分超えの曲も入っている。
そしてその音楽は、これまでのSuchmosにイメージされるようなオシャレでキャッチ-な要素がないブルースを基調としている。中にはメロトロンのような音も入っていてサイケデリック・ロックをも思わせる曲もある。
言ってしまうと、「Stay Tune」で飛びついた一過性のファン(要は「にわか」)の切り離しと、初期からのファンをふるいにかけたような内容になっている。これについていけないという人も多いのではないか。
恐らく「Stay Tune」や「808」みたいなキャッチ-な曲だって簡単に作れるだろうけど、あえてそうせず、自分たちが鳴らしたい音をひたすら追求していくその尖った姿勢には惚れ惚れしてしまう。重めなアルバムではあるが、ジワジワと身体に染みてくるし、気が付いたらリピートしている。
こうなるとライヴではどんな感じになっていくのだろうか。この記事のインタビューで、TAIHEIが興味深いことを言っている。
今回の曲はどうとでもアレンジができるし、極端なことを言えば、2時間のライヴで8曲とか(笑)
Suchmos『THE ANYMAL』 この状況は音楽でぶち抜くしかない――映画的なサイケデリック・ブルースが示すこのバンドの真価とは? - Mikiki より
http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/21122
このアルバムを聴くと、そんなライヴも彼らならあり得ると思ってしまう。それこそ「Indigo Blues」あたりを30分ぐらいやってくれるとかね。CDには9月の横浜スタジアムのライヴの申し込みコードがついているから、早速申し込むとしたい。これ当たったことなんだけどね。
あと、初回盤にはDVDが付いているのだが、これは彼らのレコーディング風景を中心としたロードムービー風な映像なんだけど、これがまたカッコイイんですよ。特に「Hit Me, Thunder」のレコーディング時の映像とそこで流れている音楽が最高。アルバムに入っている同曲がすでに物足りないと思ったし。