『ホワイト・アルバム』スーパー・デラックス・エディションのディスク4から7いきます。ディスク4から6までは「セッションズ」と題したアルバム録音時のセッションの音源で、ディスク7はBlu-rayディスク。
The Beatles (White Album) Disc 4 “Sessions”
- Revolution 1 (Take 18)
- A Beginning (Take 4) / Don’t Pass Me By (Take 7)
- Blackbird (Take 28)
- Everybody’s Got Something To Hide Except Me And My Monkey (Unnumbered rehearsal)
- Good Night (Unnumbered rehearsal)
- Good Night (Take 10 with a guitar part from Take 5)
- Good Night (Take 22)
- Ob-La-Di, Ob-La-Da (Take 3)
- Revolution (Unnumbered rehearsal)
- Revolution (Take 14 Instrumental backing track)
- Cry Baby Cry (Unnumbered rehearsal)
- Helter Skelter (First version – Take 2)
まずディスク4だけど、何よりも嬉しいのが1曲目の “Revolution 1 (Take 18)” が収録されたこと。1968年5月30日に録音されたこの曲はもともとは “Revolution” ってタイトルだったんだけど、このテイク18は10分以上の長さがあって、後半部分が後に “Revolution 9″ へと発展してくんだよね。その元ネタが登場したんだからたまらんね。
過去にブートレグでテイク20が発掘されていたけど、その違いを聴き比べるのも面白いかな。限定された楽しみ方だけど。
そしてもう一つ、”Helter Skelter (First version – Take 2)” ですかね。これは『アンソロジー3』で4分に編集されたバージョンが入っていたけど、これはもともと12分35秒あったんだけど、今回それがフルで収録されている。レコード・コレクターズの最新号で読んだが、この曲の27分あるテイク3については、ジャイルズ・マーティンも「テイク2とテイク3は似たような感じで27分版は退屈で喜ばれないと思った」と語っている。一応候補に入れていたのだろうか。ジョージ・マーティンと親子して「退屈」だと言うのだから収録しなくて正解なのだろうね。聴きたいけどさ。
他は “Good Night” の各テイクが良い。ポール、ジョン、ジョージがコーラスを付けているテイク10やピアノをバックにリンゴが歌うテイク22、どちらも素晴らしい。このディスクに限らず、セッションズと名付けられたディスク4から6は恐らくどれもが初出の音源でブートにもなかったんじゃないの?よくわからないけど。
The Beatles (White Album) Disc 5 “Sessions”
- Sexy Sadie (Take 3)
- While My Guitar Gently Weeps (Acoustic version – Take 2)
- Hey Jude (Take 1)
- St. Louis Blues (Studio jam)
- Not Guilty (Take 102)
- Mother Nature’s Son (Take 15)
- Yer Blues (Take 5 with guide vocal)
- What’s The New Mary Jane (Take 1)
- Rocky Raccoon (Take 8)
- Back In The U.S.S.R. (Take 5 – Instrumental backing track)
- Dear Prudence (Vocal, guitar & drums)
- Let It Be (Unnumbered rehearsal)
- While My Guitar Gently Weeps (Third version – Take 27)
- (You’re So Square) Baby, I Don’t Care (Studio jam)
- Helter Skelter (Second version – Take 17)
- Glass Onion (Take 10)
このディスクも素晴らしくて、中でも “Yer Blues (Take 5 with guide vocal)” は、正規バージョンのラストの方で遠くから聴こえるジョンのヴォーカルはガイド・ヴォーカルとして入れてたやつとか、”Back In The U.S.S.R. (Take 5 – Instrumental backing track)” はキーもテンポも遅くて、アルバムに入っているのはピッチを上げているのかとか、いろいろ発見が多い。
最もビックリしたのは “Let It Be (Unnumbered rehearsal)” で、まさかのプロトタイプがこんなところで聴けるとは思いもしなかった。パッと聴き分からなかったしね。「ビートルズ・レコーディング・セッション」の1968年9月5日のところには同曲をやった記録はなく、ジャムセッションとだけ書かれていたんだよね。まさかレリビーとは。翌9月6日にエリック・クラプトンがオーバーダブで参加している。
他、”St. Louis Blues (Studio jam)” は、かつて90年代に世のビートルズ・ファンを驚愕させたブートレグ “ULTRA RARE TRAX” シリーズに “I Hate To See” ってタイトルで入っていた曲だった。それと忘れてはいけないのが “Helter Skelter (Second version – Take 17)” だよね。ヘヴィな方のアウトテイクをやっと聴くことができたってわけですよ、我々は。
The Beatles (White Album) Disc 6 “Sessions”
- I Will (Take 13)
- Blue Moon (Studio jam)
- I Will (Take 29)
- Step Inside Love (Studio jam)
- Los Paranoias (Studio jam)
- Can You Take Me Back? (Take 1)
- Birthday (Take 2 – Instrumental backing track)
- Piggies (Take 12 – Instrumental backing track)
- Happiness Is A Warm Gun (Take 19)
- Honey Pie (Instrumental backing track)
- Savoy Truffle (Instrumental backing track)
- Martha My Dear (Without brass and strings)
- Long, Long, Long (Take 44)
- I’m So Tired (Take 7)
- I’m So Tired (Take 14)
- Continuing Story Of Bungalow Bill (Take 2)
- Why Don’t We Do It In The Road? (Take 5)
- Julia (Two rehearsals)
- The Inner Light (Take 6 – Instrumental backing track)
- Lady Madonna (Take 2 – Piano and drums)
- Lady Madonna (Backing vocals from Take 3)
- Across The Universe (Take 6)
ここでの注目は “Can You Take Me Back? (Take 1)” で、”Cry Baby Cry” のエンディングに流れるポールの曲のフル・バージョンとでも言おうか。1968年9月16日に “I Will” をレコーディングしているときにポールが即興で歌ったもので、当時はタイトルも付けられず保管されていたようだ。まだ素朴な感じの “Happiness Is A Warm Gun (Take 19)” とか、”Long, Long, Long (Take 44)” も未完成感があって良いし、コーラスの入った “I’m So Tired (Take 14)” があったなんてビックリ。
このディスクは曲数も多いが、強烈なのが前とさらに前のディスクに多いので若干影が薄い。とはいえどのテイクも聴いたことが無かったので何度も繰り返し聴いてしまう。
アウトテイクを3枚ものディスクに入れてくれるなんて、なんて大盤振る舞いなんだと思うが、欲を言えばもっと他のテイクも聴きたくなる。ホント、ビートルズはすべての音源をリリースしてほしいぐらい。60周年記念でまた5枚分ぐらい聴けることを願うしかないかね。
The Beatles (White Album) Disc 7 Blu-ray
これについては何も書けません・・・。再生できる機器がいまは無いのです。5.1ch盤を聴いてみたいし、オリジナル・モノ・ミックスからのダイレクト・トランスファーである2018モノも聴いてみたい。
以上で、『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の50周年スーパー・デラックス・エディションについてを終わります。