シカゴ出身の10代の女の子3人による「ホースガール」というバンド。リリースから約1年経って初めて知ったんだけど、これがとても良いのですよ。
一聴して思ったのが「90年代のアルバムのようだ」だったんだけど、90年代オルタナティブへの憧れがそのまま音に表れていて、2022年の新譜なのに90年代にリリースされたものと言われても違和感がないんだよね。
アルバムはソニック・ユースやダイナソーJr.も手掛けたジョン・アグネロによるプロデュースのもと、スティーヴ・アルビニのスタジオで録音するというところもいかにもという感じで、あの時代が好きな人は皆反応するんじゃないだろうか。
やはり女性メンバーということで、俺がつい引き合いに出したくなるのはキム・ゴードンで、彼女らも間違いなく大きな影響を受けているだろうなと思うのが、キムのヴォーカルスタイルによくあるシュプレヒゲザング(スポークン・スタイルな歌と語りの間のような、もちろんラップではない)的なところなんかは思わずニヤリとしてしまう。「オルタナティブ」と書いたけど、まだそう呼ばれるまでのUSインディーズのような空気が全編に漂っている。
まさに俺たちの世代にも刺さってくるバンドではあるが、彼女たちはSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で自分たちのお父さんやそれ以上の世代が自分たちのステージを見てくれて、音楽を受け入れてくれることは「とても素晴らしいこと」と言いながらも、「でも、年配の人たちにはあまり心地よく思って欲しくない」とも言っている。
10代の彼女たちは同世代に向けてギター・ロックに興味を持ってもらいたいと思っているし、彼女たちにとってはZ世代のパンクをやっていきたいのだろう。そこにおっさん、おばさんが群がるのは複雑ではあると思う。考えてみてくださいよ、自分が若い時に仲間にアピールしたいと思っていたことがなぜか爺さん婆さんばかりにウケがいいって、何で?と思うじゃん、そういうことですよ。
確かに彼女たちと同年代(Z世代)の若い人たちに聴いてもらいたいですね。グラミー賞とか見てもバンドなんて皆無に等しくてなんだかなと思っちゃうしね。
とりあえず、俺たちのようなおっさんは適度に距離をとりながら聴いていくほうがいいんだろうね。それがどういうことかはちょっと俺も考えないとならないけど。でもライヴは見てみたい。
Horsegirl / Versions of Modern Performance
- Electrolocation 1
- Anti-Glory
- Beautiful Song
- Live And Ski
- Bog Bog 1
- Dirtbag Transformation (Still Dirty)
- The Fall Of Horsegirl
- Option 8
- World Of Pots And Pans
- The Guitar Is Dead 3
- Homage To Birdnoculars
- Billy
※日本盤は11,12のデモがボーナストラックとして収録されている。