David Bowie / Low
01. Speed of Life
02. Breaking Glass
03. What in the World
04. Sound and Vision
05. Always Crashing in the Same Car
06. Be My Wife
07. New Career in a New Town
08. Warszawa
09. Art Decade
10. Weeping Wall
11. Subterraneans
今は無きFM-fanというFM雑誌に「プログレッシブ・ロック」の特集が組まれていて、これがなかなか詳しくて、当時は大変参考になった。50枚ぐらい選ばれているプログレのアルバムの中にこの『ロウ』があった。その2年ぐらい前に、デヴィッド・ボウイは『レッツ・ダンス』を大ヒットさせていて、当時はそのイメージが強かったから、なぜプログレ特集に載ってるのかいまいちピンとこなかった。
まあそれはすぐにブライアン・イーノが共同制作で参加しているので、そんな流れから一緒に括られているのだというのが分かったけど。
そこで読んだのか、他の雑誌とかで読んだのかは覚えてないが、このアルバムは西ドイツ、ベルリンで録音して退廃的とか、そんなような言葉がやたらと出てきて、たしか当時は「退廃的」という言葉にはめっぽう弱かった。それだけでOK!と決め付けていた。聴く前からこれがボウイの最高傑作に違いないという見切り発車までしていたような気がする。
しかし実際に聴くまでにはそこからまだ何年も後だった。デヴィッド・ボウイの70年代のアルバムはなかなかCD化されなかった。1990年ごろ、ようやく順番にCDで再発されはじめて、確か92年ぐらいだったのかな、もしくは93年ごろになって、ようやくこの『ロウ』もリリースされた。それまではただただ待ち遠しくてしょうがなかった。結論を言うと、間違いなく名盤であり、デヴィッド・ボウイのアルバムの中では1番かもしれない。
A面は小品とも思える7曲が入っていて、恐らくこれらの曲にはまとまったコンセプトとかそんなものは無いのだろう。でも何故か組曲のように聴こえてしまう。冒頭の”Speed of Life”が鳴っただけでもう十分!3分弱のインストゥルメンタルだが、これ1曲で『ロウ』のアルバム全体が分かってしまう。乾いた感じのシンセサイザーの音とノイズ、そこに絡まるギターと音処理を施したドラム。最高にカッコイイし、ロックのインストゥルメンタルの中でも1,2を争うぐらいの名曲だと思っている。
3曲目”What in the World” はイギー・ポップとのデュエット。しかしどっちがイギーでどっちがボウイの声なのか、未だに聴き分けがつかない。そして4曲目の”Sound and Vision”も重要で、A面の中では最もキーとなっている曲だろう。ちょうど中央に持ってくるところが、すごくいいアクセントになっている。6曲目の”Be My Wife”も大好きだ。イントロのピアノがどことなくファンキーな感じ。
しかし、このアルバムが名盤といわれるのはやはりB面の4曲があるからでしょう。全部インストゥルメンタル。ベルリンで録音するとこんなにも重々しいものができるのかと、初めて聴いた当時は訳のわからない感心の仕方だったが、今聴いてもこの暗さというか、冷え切った感じはたまらない。絶対にその時代じゃないと作れないアルバムってのはいっぱいあるだろうけど、こいつこそまさに77年のドイツだからこそ作れたんじゃないかと思う。
※かつてmixiの日記に載せていたものを再掲載