オリジナル・ラヴ『風の歌を聴け』にまつわる思い出


オリジナル・ラヴ / 風の歌を聴け

01. The Rover
02. It’s a Wonderful World
03. The Best Day of My Life
04. 二つの手のように
05. フィエスタ
06. 心
07. 時差を駆ける想い
08. Two Vibrations
09. Sleepin’ Beauty
10. 朝日のあたる道

俺のオリジナル・ラヴへのファーストコンタクトは「サンシャイン・ロマンス」のCDシングルで、このシングルがきっかけで『サニー・サイド・オブ・オリジナル・ラヴ』を後に買っている。それまでの俺は「J-Pop」の売り場にあるCDを買ったことが無かったから少々気恥ずかしい感じがした。しかし『サニー・サイド』は俺に日本人アーチストを見る目を変えさせた1枚だった。それから少しずつオリジナル・ラヴのアルバムを遡っていくようになり、テレビのCMからは「朝日のあたる道」が流れるようになった。もちろんこのシングルも買い、その時にアルバムが出るということを知った。

1994年の4月のある日。アルバムタイトルは『風の歌を聴け』で、5月だか6月にリリースされるとのこと。それまでに何度も「朝日のあたる道」とカップリングの「心」を聴き、アルバムのリリースを待ち遠しく思っていた。タワーレコードに行ったら新譜のところに、まだ発売されていないオリジナル・ラヴのニューアルバムが試聴できた。CDウォークマンに入っていて「○月○日発売!」とか何とか書いてあって、そんなのいいから、早く出ろよ、しかも1ヶ月も先じゃねえか!と思った。もう本当に、そのウォークマンごと奪っていきたいぐらい早く聴きたかった。確か試聴はしていない。その頃の俺は、会社の寮に住んでいた。実家から限られた枚数のCDしか持ってきていなかったので、オリジナル・ラヴをしょっちゅう聴いて過ごしていた。だからアルバムが待ち遠しくてしょうがなかったのだ。

発売日の前日に俺は『風の歌を聴け』を入手した。「The Rover」の田島の歌い出しを聴いた瞬間、鳥肌が立った。そして 「It’s a Wonderful World」でのファルセット・ヴォイス。ブラジル風な 「The Best Day of My Life」。この3連発にはやられた。すでに『サニー・サイド』の時に一度思っていたが、こんな凄い音楽を作る日本人がいたんだ!心の底からそう思った。そして最後の「朝日のあたる道」が終わったとき、俺はとんでもないアルバムを手に入れたんだと思った。それからは毎日のように、仕事が終わって帰ってくるとこのアルバムを聴いていた。

昼夜逆転した生活だったので、朝日が昇った午前中に聴くことが多かった。ジャケットや「The Rover」の作風から、サバンナのような暑さを感じる『風の歌を聴け』は、当時エアコンの無かった部屋で汗をかきながら聴いていた。今でもそのときの風景を思い出すことができる。

だけど俺がいくらこのアルバムに感激しても、何十回と繰り返し聴いても、その当時はこの気持ちを分かち合う人がいなかった。職場の人間は誰もオリジナル・ラヴを知らないし、当時付き合っていた女からはピチカート・ファイヴを否定されたから、絶対に分かるはずがないと、一言もこのアルバムのことは話さなかった。でもそれで良かったと今は思う。もしあのときに、あの感動を誰かと分かち合っていたら単なる「過去」の思い出で終わっていたかもしれない。俺が今でもオリジナル・ラヴを聴き続けている原点がこのアルバムだ。誰もここに入り込む余地は当時もなかったし、いまも無い、俺だけの思い出だ。

あれから15年。今年は『風の歌を聴け』リリース15周年ってことで、全曲披露ライヴとかやってくれません?「It’s a Wonderful World」を生で聴きたいのです。

コメント

  1. みやっち より:


    私の周りもオリジナルラブ知ってる人いないし寂しいわ〜。頼むから彼のよさを知って欲しい。ライブ一度もいったことないので行きたいなと思います。

  2. hiroumi より:


    みやっちさん
    あんなに良い曲たくさん作ってるのに何でみんな知らないのか、
    自分もいつも不思議に思います。
    ライヴ、行ったことがないのであれば一度行ってみてください。
    また違った魅力がありますよ。

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