ケニー・ロギンスの80年代を考え直す

Kenny Loggins / High Adventure/Vox Humana
Kenny Loggins / High Adventure/Vox Humana

ケニー・ロギンス。俺はこの30年ぐらい、彼のことを誤解したままここまで来てしまったようだ。きっかけは写真の、1982年の”High Adventure”と1985年の”Vox Humana”という2枚のアルバムをカップリングしたCDを購入して聴いたことで、ずっと「サントラじゃなきゃ売れない」というレッテルを貼っていたことを訂正したいという気持ちになったのだ。そもそも、俺とケニーの出会い(って別に知り合いじゃねえw)は1982年、「ベスト・ヒット・USA」で見た”Heart To Heart”のプロモーションビデオだ。とてもいい曲だと思い、FMで曲をカセットに録音して何度も聴いていた。他にも元ジャーニーのスティーヴ・ペリーが参加の”Don’t Fight It”(なぜ「サンライズ・パーティ」という邦題だったのか)や”Heartlight”もヒットしていた。中学生だった俺は、ケニーをいい曲を書く人だと認識した。

その2年後、久々に彼の名を聴いたのはあの「フットルース」の主題歌だ。俺は前年の「フラッシュダンス」以降のサントラからのシングルが売れるという現象が好きではなかった。映画のおかげで売れてるんだろうという思い込みではあるが、邪道だと思っていた。だから同じように「フットルース」のサントラは嫌いだったし、しかもこのサントラが売れに売れた。ケニーの歌う曲の「軽さ」がさらに輪をかけたように嫌いになった。かつてはあんなにいい曲を書く人だったのに、サントラなんかで売れやがってと。1985年に彼は”Vox Humana”をリリースするもパッとせず、俺はサントラの力を借りなきゃ売れねえような人に成り下がったのかと思っていた。後に映画「トップ・ガン」の主題歌”Danger Zone”の大ヒットがさらにそう思わせた。俺は彼に「商業主義に走った」というレッテルを貼ったのだ。

しかしこのCDを買うにあたり、特に”Vox Humana”のAmazonのカスタマーレビューに載っていた情報を見て考え方が変わった。なんでも彼はフットルースのイメージをもたれないための作品を作ったにも関わらず、レコード会社がフットルース路線の曲を求めてきて、仕方なく作った曲がタイトル曲だったそうだ。この曲は雰囲気がフットルースにそっくりで、どう聴いても二番煎じにしか思えない。これが大きくこけてアルバムセールスに結びつかなかったらしい。ヒット路線に甘んじなかった彼のこのエピソードを知らなかった俺はずっと長い間、「フットルース」や「デンジャー・ゾーン」ばかりを耳にしてきたので、彼の本質を見ていなかったようだ。商業主義に走ったなんて言ってすまなかった、ケニー。

ただこれはやはり、ケニー・ロギンスというとサントラ絡みの曲ばかり流すメディアがいけない。向こうの歌番組で口パクで「フットルース」を歌う彼の映像を見てどれだけ落胆したことか。そう、いい曲いっぱい持っているんだから、もっと別のを紹介すべき!そして、アルバムをちゃんと聴いてこなかった俺も良くない。このCDは、新宿のディスクユニオンで見かけて、2か月以上もどこか心に引っかかっていたので聴いてみようと思ったんだよね。そのおかげで、彼に対して持っていた認識を改めることができて良かったと思う。

コメント

  1. GAOHEWGII より:


    hiroumi 様 こんばんは

    ケニーロギンスほどの大物でも方向性を強要されたりするんですね。

    僕は世代的に「デンジャー・ゾーン」辺りですが、
    その曲ばかり聴いてあまり他に手が伸びませんでした。

    英フォークを掘っているときに
    ロギンス&メッシーナに出会い、
    そこから80年代まで順に後追いで聴きました。
    いい曲書きますよね。

  2. hiroumi より:


    GAOHEWGIIさん
    自分はこの2枚だけなんですよ、まだw
    ロギンス&メッシーナも興味深いのでいずれ聴きますが、
    ほんと、良い曲をたくさん持っていると思います。
    マイケル・マクドナルドとの共作は特に素晴らしいです。
    それにしても、こうやってちゃんと聴いた後だとフットルースも許せてきますw