デヴィッド・ボウイ / The Next Day

David Bowie / The Next Day
David Bowie / The Next Day
レコード・コレクターズ4月号

3月13日にリリースされました。
デヴィッド・ボウイ、10年ぶりのアルバム『ザ・ネクスト・デイ』。
俺は前日の12日にタワレコで購入、それ以来繰り返し聴いているところです。
前にも書きましたが、2003年の『リアリティ』以降、病気で休養していたとはいえ、
すっかり人前に出なくなって因循生活をしていて、創作意欲も無くなっているなんて言われていただけに、
こうして新しい曲が聴けるのは大変嬉しいことです。

一聴した時は正直ピンとこなかったけど、2度3度と聴いていくうちにジワジワと引き込まれる。
なんで最初にピンと来なかったのかというと、このジャケットのせいかもしれない。
と、言うのは、このジャケットはかつての大傑作『ヒーローズ』にそのまま白地の正方形を
被せたというもので、やはりこのアルバムもしくはベルリン時代を意識しているのかなと、
そんな風に思ったわけです。

だからアルバムリリースと同時にPVが公開になった”Where Are We Now?”の曲調は
そのイメージにピッタリと思ったんだけど、アルバムを聴いてみるとアップテンポな
ロックが思いのほか多いという具合だったので、戸惑ってしまったということです。
まあ、戸惑ったと言っても良い意味でですけどね。

そしてレコード・コレクターズも久しぶりに買ったのですが、今回のアルバムと、
ベルリン時代の3枚『ロウ』『ヒーローズ』『ロジャー』を取り上げています。
あ、そうそう、だから『ザ・ネクスト・デイ』は収録曲の感じから『ロジャー』に近いかなって。
でもタイトル曲は”Beauty and The Beast”っぽいです。

このアルバムを聴くと、ボウイの創作意欲や才能は全く衰えてないなと感じる。
レコーディングでは30曲ぐらい録音したらしく、今回はボーナストラックを入れても18曲で、
まだ12曲残っているわけですよ。もしかしたらすぐに次のアルバムを出すんじゃないだろうか?
そんな期待もしてしまいますね。

今回、アルバムの内容はもちろんですが、いちばん「凄い」と言いたいことは、
1月8日(ボウイの誕生日)にこのアルバムのリリースを発表するまで、
誰にも情報が漏れることなく用意周到に準備してきたということ。
いまはツイッターやフェイスブックなどのSNSでミュージシャン自らが情報を発信したり、
あるいはちょっとでも情報があるとすぐに拡散されるというこの時代に、
あえて何も言わない、何も情報を与えないという徹底ぶりに惚れてしまう。

アーチストにはある種の神秘性があったほうが魅力的だし、そのほうが面白い。
今じゃ死語のようになってしまった「カリスマ」とはまさにこういうことだよ。
でも、そろそろボウイ自身の言葉でこのアルバムについても聞きたい気もする。

俺はこのアルバムを近年の最高傑作とまでは言わないけど、
こんな素晴らしいアルバムを聴けたことで、
ボウイはこれからも俺たちを魅了してくれるだろうと確信したよ。