Red Hot Chili Peppers / I’m With You
もうすぐレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下「レッチリ」)の11枚目となるアルバム”The Getaway”がリリースされるが、俺は2011年の前作である”I’m With You”を聴いていなかったので、リリースから5年が経ったいまになって初めて聴いてみた。
レッチリは2006年に2枚組の大作”Stadium Arcadium”のリリースとツアーの後に長いオフに入った。その間にジョン・フルシアンテが脱退し、この”I’m With You”からはジョシュ・クリングホッファーが参加している。俺は”Stadium Arcadium”のボリュームに着いて行けず、レッチリからは興味を失くしていた。だから新しい曲を聴いてもそれほど魅力的に写らず、かつての破天荒なイメージのレッチリからは程遠く、悪い言い方をするなら「日和った」ようにしか聴こえなかったからこのアルバムは完全スルーを決めていた。
世間的にはジョン・フルシアンテがいないレッチリなんて・・という声も多かったようだけど、例え現代の世界3大ギタリストだと言われようが、俺はもともとジョン・フルシアンテは好きじゃないので、脱退しようがどうでもいいと思っていた。それに俺の好きなレッチリのアルバムは”One Hot Minute”だしね。じゃあ何で今になって”I’m With You”を聴いたのかと言うと、新作が出る前にちゃんと聴いておきたいと思ったという、ただそれだけの理由だった。
実際に聴いてみて、当時聴いた数曲に対して「日和った」と思っていたのは言い過ぎだったと今では思う。ただしジョシュ・クリングホッファーが入って最初のアルバムということもあって、どこか手探り感があるように聴こえる。これまでのレッチリがやってきたことをキレイにまとめて、新たな体制でどう演奏するかというところに重きを置いた印象を受ける。入手して3日経ったいまも1日2回は聴いているという、本当にいまさらながらのへヴィ・ローテーション。このアルバム、レコーディングに際して50曲も用意したとかで、だからいつもレッチリのアルバムは14曲入りだったりするのかと改めて知った。”Stadium Arcadium”のように2枚組で出そうと思えば出せたはずだが、今回はそうせず、2曲入りEPを立て続けに出して、最終的には”I’m Beside You”という2枚組のアナログレコードでリリースしている。こちらもなかなか良くて、アルバム本編から外された曲で構成されているのにクオリティがとても高い。
そんなわけで、次のアルバム”The Getaway”が待ち遠しい。俺はもはやレッチリに90年代のようなミクスチャー・ロック(古っ!)的なものも求めていないし、ジョン・フルシアンテ在籍時のような泣きのギターが冴えるようなバンドも求めていない。今の彼らがどんな風に変わっていくのか、この先も楽しみだ。それに、”The Getaway”は”One Hot Minute”と同じカワイイジャケットなので、良いアルバムに違いないと、個人的にハードルを上げてリリースを待っている。