ブロンディの『ザ・ハンター』について最近思ったこと

Blondie / The Hunter

Blondie / The Hunter

ブロンディが1982年にリリースした6枚目のアルバムである『ザ・ハンター』って、あまり取りあげられないアルバムのような気がする。俺もブロンディの他のアルバムと比べると、聴いている回数は少ない。じゃあそれがなぜなのか今回考えてみた。

写真にあるように、俺はLPで所有しているが、これは90年代に中古で購入したものだ。日本盤なのでライナーノートが入っているが、それを読んでみると当時のことが分かる。

この頃(1980年から1982年まで)のブロンディの動きはあまり活発ではなかったようで、前作『オートアメリカン』をリリースした後のツアーは行われなかったし、デビー・ハリーはナイル・ロジャースと組んでソロ・アルバム『予感』をリリース。ほかのメンバーも別のプロジェクトで活動していて、グループとしては1981年にベスト・アルバム『軌跡!ザ・ベスト・オブ・ブロンディ』をリリースしたぐらいだった。なお、ライナーには「ゲイリー・ヴァレンタインだけは何もせずに毎日ブラブラ・・・・。」と書かれていて笑ったが。

そして『ザ・ハンター』は「なんの前ぶれもなく突如としてリリースされた」のだそうだ。いまみたいに海外の情報がすぐに分かるわけではなかったとしても、レコーディングしているとか、そういう情報もなかったのだろう。このあとには来日公演も予定されていて、雑誌「FMステーション」でも特集が組まれていたが、解散が発表されて来日は幻と化したのは俺もよく覚えている。

そんな背景があったからなのか、どうもこのアルバムの印象は薄い。しかしそれだけが要因ではないと思う。ブロンディというとNYパンクの中から登場した、ポップなイメージが強いグループだが、前作『オートアメリカン』から少し様子が変わってきた。アメリカの歴史から未来への警告みたいなコンセプトのもと制作されたもので、『ザ・ハンター』に至っては人類と動物、そして地球との関係性みたいなテーマがコンセプトとなっているらしい。それまでのキャッチーでポップなイメージから壮大なものに変化していて、『ザ・ハンター』のライナーノートでも『オートアメリカン』については問題作だったと書かれていた。

言われてみると、俺もこの2枚のアルバムを頻繁に聴くようになったのはここ何年かのことで、それまでは圧倒的に初期のアルバムか『軌跡!ザ・ベスト・オブ・ブロンディ』を聴く回数が多かった。その理由は、音楽的な部分から「なんかスケールがデカすぎないか?」と思っていて、ブロンディのイメージと違うんだよなと思っていたからだ。そして上記にあるようなコンセプトがあったりして、それまでのみんなが求めるブロンディ像から離れていったのが1980年から1982年にかけての彼らだったと思う。

そして『ザ・ハンター』は少し地味にも思える。それはジャケットのせいかもしれない。どこぞのクラブのママとホストたちみたいな写真がいまいちだし、青いバックもどこか重々しく感じて、どこか不穏な印象を受ける。実際に解散もしちゃったからなおさら語られることが少なかったのかもしれないと俺は思っている。

  1. Orchid Club
  2. Island Of Lost Souls
  3. Dragonfly
  4. For Your Eyes Only
  5. The Beast
  6. War Child
  7. Little Caesar
  8. Danceway
  9. (Can I) Find The Right Words (To Say)
  10. English Boys
  11. The Hunter Captured By The Game

ホーンやシンセ・ベースが目立つアルバムだが、さすがにリアルタイムで聴いていないだけに当時はこれがどんな風に受け止められたのかはわからないけど、今の耳で聴くと実は2020年代の今だからこそ合っているという曲もある。そう思う理由としては、再結成後の彼らのアルバムに通じるものを感じたからだ。だからいまでこそ聴けてるのかなとも思う。

とりあえず、「ブロンディ ザ・ハンター」でググってみても商売のページばかりが出てくるのが気に食わないので、まずは思ったことを書いてみた。

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