改めて聴く『レット・イット・ビー...ネイキッド』には違和感しかない

The Beatles / Let It Be...Naked

久しぶりにビートルズの『レット・イット・ビー...ネイキッド』(以下『ネイキッド』と記載)を聴いた。リリース当時(2003年)はそれなりに聴いていたと思うけど、いま改めて聴くと、なんだかとてもキレイにコーティングしたアルバムだねって思う。

そもそも『レット・イット・ビー』は「ゲット・バック・セッション」で大量に録音された音源をメンバーではどうすることもできず、グリン・ジョンズに『ゲット・バック』というアルバムとして2度も編集させておきながらボツにし、結局はフィル・スペクターの手に渡って今の形になったんだよね。

フィル・スペクターがストリングスやコーラスをオーバーダブしたことで、本来のコンセプトだったオーバーダブの無い原点回帰のアルバムというのはなくなってしまい、セッションを撮影した映画「レット・イット・ビー」のサントラでもあったアルバム『レット・イット・ビー』は映画に相応しいかといったら微妙であることは確か。

それを「今後再リリースする映画のサントラとして相応しいものにしたい」という(特に)ポールの希望として、フィル・スペクターが施した音を取り除いたものが『ネイキッド』という位置づけだった訳だが、実は話はそんな単純じゃなくて、演奏も歌も2003年当時の最新のテクノロジーを使ってキレイに修正してあるのだ。ヴォーカルや演奏のミスも修正されて、まるで現代のレコーディング技術で録り直したかのような楽曲たちは、冒頭に書いたようにキレイにコーティングされているって印象を受けてしまうのだ。

映画のサントラに相応しいものと言うのであればグリン・ジョンズがミックスした『ゲット・バック』が陽の目を見るべきではないだろうか?『ゲット・バック』はブートで簡単に聴くことができるし、曲の前後に入っている会話なんかも含めてゲット・バック・セッションの様子が伝わってくるものなんだよ。そういうのをすべてカットした『ネイキッド』は逆に聴いていて息苦しくなってしまう。

恐らく来年出るであろう『レット・イット・ビー』の50周年デラックスエディションには、ぜひともグリン・ジョンズの『ゲット・バック』を丸ごと収録してもらいたい、もちろんジャケも例のアレで。間違っても『ネイキッド』は入れて欲しくないものだね。

というか、映画の「レット・イット・ビー」は2000年代からDVDで再発なんて言われておきながら未だリリースされてないんだけど、最近のポール・マッカートニーのインタビューでは同映画を新装版として出すことを検討しているらしい。なんだか嫌な予感がするなぁ。『ネイキッド』みたいに全体をシュガーコーティングしちゃうんじゃないかって心配だ。