現在来日中のレッド・ホット・チリ・ペッパーズは今年でデビュー40周年になるそうだ。個人的には1988年に『The Abbey Road E.P.』で最初に彼らを認識したが、名前自体はもうちょい前に見ていたと記憶している。
1986年にJICC出版から発売された「世界自主制作レコードカタログ」という本に、彼らの1stアルバムが紹介されている。
当時はインディーズからリリースされたものは「自主制作」と言われていて、レッチリの1stもエニグマ・レーベルからリリースされていたのでここに掲載されているのだろう。
この本に載っている時点ではレッチリはデビューしてまだ2年、どのように紹介されていたのか抜粋してみようか。
LA出身(デトロイト説もあり)の、変態四人組のファーストLP。ジャケットはゲイリー・パンター。ジミ・ヘンドリックスとグランドマスター・フラッシュとキャプテン・ビーフハートに影響された、とのフレコミにしては、割合オーソドックスな演奏だ。ギャング・オブ・フォーのギタリスト、アンディ・ジルのプロデュースなので期待したが、ドラムスがハイハットで細かくビートを刻む以外、パンク~ファンクの感じはあまりない。むしろグループ名通りのテックス・メックス・フレイバーが強烈だ。曲は彼らのオリジナルがほとんどだが、やや魅力に乏しい。(以下割愛)
「LAの変態4人組」ってところは特徴をとらえているような気もするが、1986年ごろだとレッチリのようなバンドをどう形容したらいいのか分からなかったのかもしれない。それまでに聴いたことがないような変わった曲や風貌、そういったところからも「変態」と形容しているような気がする。
いまならオルタナティブという便利な言葉があるけど、その頃はそんな表現はなかったし、ロックにファンクやラップを取り入れたものは「ミクスチャー・ロック」と言われていて、レッチリもそういう扱いだった。
日本においてレッチリが注目されるようになったのは『Mother’s Milk』以降だし、いまのような誰でも知っているような存在となったのは『Californication』からじゃないだろうか。俺はそう思う。ドラッグ沙汰やギタリストがしょっちゅう変わったりと、そんな時期もありながら40年もやってきたのは凄いなと純粋に思う。
「世界自主制作レコードカタログ」は日本、イギリス、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアのインディーレーベルの作品が載っているもので、当時これだけ集めたものは貴重な資料だったと思う。ディスクユニオンや他の輸入盤屋の店員もこれを見て調べたりとかしているところを見かけたものだ。
そして俺は日本のインディーズのレコードを知りたくてこの本を買った。1987年か88年ごろだったので、35年以上前の話になるのか。そうか、そんな前なんだな。