オリジナル・ラブ、本当に1人になっちゃったのかよ!
アルバム『Desire』の頃に知ったニュースでそう思った。まるでコーネリアス状態なんて言ってたな。
俺のオリジナル・ラブ熱は若干落ち着いていて、でもアルバムはリアルタイムで聴いていた。
この時期(1996年)に俺に起こったことの一つとして、インターネット環境を手に入れたということがあって、
初めて俺以外にオリジナル・ラブを聴く人たちを見つけることが出来たというのがあった。
ただ、まだそういう人たちとの交流はなく、もっぱら掲示板に書き込むとかその程度だったが、
そのうちひょんなことからあるMLに入った。ここで何人かのコアなファンの人たちと交流を持つようになった。
それにしても『Desire』は俺も最初は戸惑った。民俗音楽だぜ?w
でも田島1人になってやりたいことをやれているんだろうなって思ったものだ。
1997年、『イレブン・グラフィティ』がリリースされた年になってようやくライヴに行くようになった。
それまではまだ心のどこかに、日本人アーチストのライヴに行くってことに抵抗があったのです。
でもすぐにそんな風に思っていたことを後悔することになったんだけど。
「プライマル」がヒットしたことで、バラードを歌う歌手みたいなイメージが世間についちゃって、
田島もそれなりに苦悩したんじゃないかなって思っていた。
ライヴではMCはほとんど無かったし「接吻」はやらなかったし、黙々とやっていた感じ。
それと同じ頃、俺は他のファンの人たちの掲示板やMLでの意見に違和感を持った。
『Desire』や『イレブン・グラフィティ』での田島の音楽性についていけない、「接吻」や初期の頃のような
オシャレでカッコいい音楽をやって欲しいという書き込みを多く見たのだ。
まあこれはあるアーチストのファンを長年やっていると必ず起こる類のことだけど、
それらの意見を読んでファンの保守性ってものを痛感した。
俺はその時に『Desire』も『イレブン・グラフィティ』も大好きなアルバムだったから、
自分の主張を通そうと思い、ファンサイトを作った。今はもうやめているけど。
そこでは「『Desire』こそオリジナル・ラヴの本髄で最高傑作だ」みたいなことを書いた。
『風の歌を聴け』をしりぞけて『Desire』を推していたのだ。
なので、初期の音楽性が良いというファンが未だに多いと思うけれど、
俺はバンド時代のオリジナル・ラブには興味が無いと、これはこの時から今もずっと思っている。
Desire (写真左上)
良いアルバム、だけどオリジナル・ラブを初めて聴く人が最初に聴いてはいけないのがこれ。
インドっぽかったり、沖縄だったり、そりゃあ田島1人になっちゃうよっていうのが分からなくもない。
ここからオリジナル・ラブのイメージがアルバム1枚聴いただけではわからないものになっていったね。
「Masked」「黒猫」「日曜日のルンバ」が好き。
イレブン・グラフィティ (写真右上)
田島がベックの”Odelay”から受けた影響を感じさせるアルバム。
「機材元年」と言って打ち込みなどを使い始めるが、まだようやく使えるようになりました的な空気が良い。
「ビター・スウィート」「ペテン師のうた」「踏み固められた大地」が白眉。
L (写真中央左)
機材の使用が上達したのか、エレクトロニカ色の濃い傑作。
この辺りの曲目は奇をてらったものが多くなってきて「大車輪」とかどんな歌よ?なんて思ったものだ。
まさかターンテーブルまでバンドメンバーに加わるとは思わなかったよね、当時は。
「水の音楽」は単体の楽曲で言ったら上位に入る美しさを持っていると思う。
この曲と「ハニーフラッシュ」「インソムニア」が好きかな。
XL (写真中央右)
『L』収録曲を中心としたライヴ、リミックスアルバム。『L』の内省的な音とは逆の、暴力的な音は
オリジナル・ラブがいよいよオルタナティヴ・ロックに向かうものだと、俺は当時ものすごく盛り上がった。
田島もこの時期から「ポップス」という言葉よりも「ロック」と言い出した覚えがある。
CDの帯にも「ロック/オルタナティヴ」って表記が入っている。
ビッグクランチ (写真下)
『Desire』あたりから離れたファンがこれを聴いたらもっとビックリするに違いない。
SXSWに出たのもこの頃だったかな?音楽的には最も俺が好むタイプのもので、
だけど随所にちゃんと従来の田島メロディも聴けるから飽きがこない。
俺にとっては『風の歌を聴け』と甲乙つけがたいアルバムではあるが、
このアルバムは全部を聴き通すには今では体力が必要w
「女を捜せ」「MP」「液状チョコレート」「R&R」が良いね。
コメント
こんにちは。
多分、以前持っていただろうサイトを良く見てました。
「オリジナル・ラブを聴いて来年で20年!」(その4)の
予定はありますか?
個人的に「ムーンストーン」の頃からリアルタイムで聴き続けて
このアルバムが一番聴いた回数が多いので、思い入れがあります。
地味な曲が多いですけど、初期のアシッド・ジャズの傾向よりも、
この落ち着いた大人のポップとジャズの雰囲気が感じられて、
いままでそういう音楽を聴いたことがなかったので、ここからファンに
なりました。
振り返ると、ここがファン熱のピークの時でそれ以降は、シングル曲の分かりやすさや
方向性に疑問を感じつつ、曲を好きになろうと正直無理をしていました。
「踊る太陽は」は置いといて、「街男 街女」は昭和歌謡・ブギー・スカの影響の
方向性が頂点を極まって、そんなに悪いアルバムとは思わないです。
ただ、好みかと言うとまた別なんですけど。
そして、「東京飛行」。
一体、何をコンセプトに作ったか、魅力が全然わからなくて戸惑いました。
久しぶりに聴くと、これは家庭内のプライベートで大変な時期だったのかなと。
歌詞は、それに対する内容が全曲占めていて、何となく音楽創作の状況ではなかった
のかなと想像してます。
「白熱」は好きです。50・60年代のポップス・70年代のフィリー・ソウルなのかな。
何より、田島さんが洋楽寄りに戻ってくれたのが嬉しいです。
最近の田島さんのtwitterとブログを追いかけて、ニューアルバムが楽しみです。
製作途中の段階で、もう既に自信作らしく「最新式」「クール」「最高傑作の可能性」と
嬉しい言葉が並んでいます。
長文失礼しました。
youheiさん
「その4」と「最終回」はすでにあがっています。
自分で検索してみたけど、確かに出てこなかったですね・・・なんでだろ。
90年代はアーチスト本人も方向性で悩んでいたような部分を感じますね。
だから作品によってはちぐはぐな印象も受けるし、
聴く側も評価がしにくいという・・・。
『白熱』は本当に吹っ切れた感じがあってこれから来るであろう新譜も楽しみです。
「desire」はたまにインタビューで、田島さんはビートルズがインド音楽に影響されたのを
例にして、自分も民族音楽を取り入れたと話しています。
つい最近、月刊カドカワのオリジナル・ラブ特集を手に入れて、その中でYMO以前の細野晴臣さんが田島さんは好きで、特に「はらいそ」は自分がこれから先あそこまで到達できるだろうか・・程の完成度だみたいな事を話していました。
「desire」はビートルズの他に細野さんの「はらいそ」も創作のきっかけとして意識したと思いますか?
youheiさん
自分は「はらいそ」を聴いたことがないので、
Desireにその影響が見えるかどうかを言及できませんが、
田島はその時点ではすでに聴いていたと思います。
月刊カドカワでの「到達できるだろうか」の発言がいつのものかわかりませんが、
Desireに限らず常に意識している1枚なのかなぁと。
すみません、答えになっていなくて。