スティーヴン・ウィルソン、8枚目のアルバムとなる『The Overview』。俺が彼のアルバムを購入したのはこれが初めて。最初はサブスクで聴いていたのだが、これはCDでもいいので手元に置いておきたいと思ったからだ。
彼はPorcupine Tree(ポーキュパイン・ツリー)というプログレ・バンドを率いているほか、様々なプロジェクトでも活動していて、さらにはキング・クリムゾンやイエス等のアルバムのリミックスも手掛けていて、その活躍の割にはあまり名前を聞かないのは俺の周りだけなのだろうか?
イメージとしてはプログレの人なんだけど、ここ数作の彼はプログレファンを切り離すかのようなタイプの作品をリリースしてきたが、8枚目となる本作は20分前後の大曲が2曲という、プログレスタイルの作品となっている。
なんでも「宇宙飛行士が宇宙から地球を見た際に経験する認識の変化」(これを「Overview Effect = 概要効果」と言うそうだ)をコンセプトにしたアルバムだそうで、そのようなテーマがあることから必然的に曲が長くなったとインタビューで語っていた。
まず1曲目は “Objects Outlive Us”という23分に及ぶ曲で、8つのパートに分かれている。そして2曲目は “The Overview”という18分の曲でこちらは6つのパートから成っている。前者が「人間的な側面」そして後者が「科学と宇宙の途方もない大きさ」を取り上げ、両方合わせて「Overview Effect」としているらしい。
コンセプトや楽曲の長さだけを捉えるとプログレという感じではあるが、そこは2025年、古臭さを感じさせない音作りとなっている。そこに俺は惹かれたようだ。しかしそうは言っても、プログレでおなじみのメロトロン(今回は出番は少ないが)とかが入っているとたまらんよね。
ファンの間ではあまり好まれていないようなレビューばかりを見るが、俺としてはこれは十分に「アリ」だ。