Frank Ocean / nostalgia, ULTRA
前回の記事を読むと、「ミックステープ=サンプリングし放題」みたいな印象を与えてしまいそうだけど、オリジナルなものもたくさんあるので、その辺はお間違えの無いようここでお伝えします。
と、言いながらも今回はサンプリングが絡んだある曲のお話。ミュージック・マガジンで知ったのだけど、フランク・オーシャンというR&B系のシンガーが去年発表した”nostalgia, ULTRA”というアルバムに収録されて「いた」ある曲が物議をかもしたとのこと。「いた」というのは、今フリーでダウンロードできる同作品にはその曲は含まれていないからだ。
その曲とは”American Wedding”といって、イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」がサンプリングされていたそうだ。しかし、同曲の作者であるイーグルスのドン・ヘンリーがそれを快く思わなかったのか、フランクに向けて「”American Wedding”をライヴとかでやったら訴えるからな!」と抗議したそうだ。
それを受けてフランクは「あのオッサンは十分すぎるほど金持ってるんだろ?何で俺みたいな新人を訴えるとか言うんだよ?俺はこの曲で1セントも儲けていないのに」とコメント。
フリーで配布している曲であるから、確かにその曲では儲けていないだろう。それに対してドン・ヘンリー側は「これはサンプリングってレベルじゃない、オケをそのまま使って、メロディまでまんまじゃないか、全然クリエイティヴじゃない違法行為だ」と返したらしい。
この話を聞いて最初に俺が感じたのはフランクと同じで、イーグルスはあの曲だけでも散々儲けただろうし、新人の曲でサンプリングされたぐらいでいちいち文句言うなよ、大物らしくどっしり構えてりゃいいのに・・・と思った。
かつてビズ・マーキーがギルバート・オサリバンに訴えられて敗訴したりとかを機にサンプリングが制限されてつまらなくなったなって思ったものだから、今回の話も俺はフランク寄りになったわけだ。
で、俺はこの話を知ったばかりだったから、今さら”nostalgia, ULTRA”をダウンロードしても”American Wedding”は収録されていなくて、「ホテル・カリフォルニア」がどの程度サンプリングされているのか分からなかった。そうしたら、SoundCloud にアップされていたので、早速聴いてみたのだが・・・。
うーむ、、、、ドン・ヘンリーが怒るのも無理はないかもしれない。
確かに「まんま」だよね。でも結局はどう捉えるかなんだよなぁ、サンプリングと呼ぶかパクリと呼ぶか。きっとイーグルス大好きな人たちは怒るだろうし、俺みたいに別にいいじゃねえかって思う人もいるだろう。
俺は最初の印象からはちょっと変わって「ちょっとやりすぎかな」とも思うけど。でもミックステープの文化としてはありだと思う。
この手のサンプリングか否かって話は結局のところ受け手によるんだろうね。