最近とても良いCDレビューを書いている人がいる。内山結愛(うちやまゆうあ)さんという人で、RAYというアイドルグループのメンバーだ。
え、おまえ普段アイドル毛嫌いしてるじゃん!と言われそうだが、とりあえずそのことは置いといてまずはこれを見て欲しい。
ある日たまたまこのレビューのツイートを見て、ん、若い女の子が『虫』だと?と気になって読んでみたんだけど、一気にこの子の書くレビューが好きになった。例えば1曲目の「水銀」は
重たく切り刻むようなギターの音。ボーカルの残響音。単語や短い文の言い切りが多い。煮え滾っている。赤黒い。地獄で鬼がバンドを組んだらこんな曲を作りそう。
THE STALIN の『虫』を聴いてみた編 – 内山結愛
なんて良い表現なんだろう!地獄で鬼がバンドを組んだらこんな曲を作りそうって、俺には無い発想。「水銀」って曲をよく表しているなって思ったんだよね。以降も1曲1曲ちゃんと聴いて正直な感想を書いている。
他にも坂本龍一やヤプースを始め、ビースティ・ボーイズ、フガジ、PIL、CAN、ノイバウテン、スティーヴ・ライヒ、ステレオラブなどなど、どこからそういうのを持ってくるのというぐらい選んでいるディスクのセンスが良いので、ぜひ読んでほしい。
彼女の書くディスクレビューの何が良いかって、ちゃんと1曲ずつコメントしていること。しかも「2:20〜ベースが大変なことになる」みたいに細かい部分もちゃんと表現し、彼女が感じたことを書いている。これが正直羨ましくてしょうがない。俺がいつもざっくりした書き方をしているのは、細かく描写できないからなんだよね。
そしてレビューを読み終わった後は未聴のアルバムであればぜひ聴いてみようという気にさせてくれる(そしてSpotifyで聴く)から、毎回更新されるのが楽しみなんだよな。
あとね、毎回のレビューで本人がCDを持った写真が載るんだけど、その持ち方が毎回違っていてそれも面白い。
さて、彼女が所属するアイドル・グループ「RAY」だけど、彼女たちの1stアルバム『Pink』は何の予備知識もなく聴いたら必ずこう言うと思う。
「何てバンド?」
なぜなら、バックで鳴っている音がシューゲイザーだからだ。その筋のクリエーターによる楽曲により、まるで俺たちが20代から30代の頃に聴いたオルタナティヴな響きに終始しているのだ。仕事中に聴いたりしているが、どこぞのバンドのアルバムを聴いているような感覚になる。
また、彼女が公開しているSpotifyのプレイリストもなかなかいいので貼り付けておこう。
Twitterではフォロワーが5000人以上もいるのに、これらのプレイリストは20人ぐらいしかフォローしていない。彼女のファンにとって、アイドルという活動とこれは別物なんだなって思った。
そんなわけで、いま注目しているCDレビューワーのことでした。
彼女にはぜひ、ルー・リードの『メタル・マシン・ミュージック』とかソニック・ユースのアルバムも取り上げて欲しいなと思っている。特に前者なんかを聴いたらなんて書いてくれるのかすげえ気になるんだけど。