前回に引き続き、”Raw Power Deluxe Edition” の、今度は各ディスクを聴いた(見た)感想でも。
Disc 1 “Raw Power”
01. Search And Destroy
02. Gimme Danger
03. Your Pretty Face Is Going To Hell
04. Penetration
05. Raw Power
06. I Need Somebody
07. Shake Appeal
08. Death Trip
まずはオリジナルの”Raw Power”のリマスター。1973年にリリースされたストゥージス3枚目のアルバム。俺の個人的な話になるけど、このアルバムを手に入れたのは1988年ごろで、もちろんアナログ。そのときからの印象は「音が薄っぺらい」だった。
だからあまり迫力がなく、それはすなわちミックスを手がけたデヴィッド・ボウイが悪いという結論に繋がっていった。実際、雑誌などを見てもミックスが弱いと書かれていることが多かった。
イギー・ポップがそれを1996年にミックスしなおし、翌97年にリリースされたときは本来このアルバムが持っているべきパワーが復活したと言われていた。俺もこのミックスが大好きで、初めて好きだと言えるようになった。
さて、今回は悪評高かったデヴィッド・ボウイのミックスをそのままリマスターしている。一聴して感じたのは音に奥行きが増したということ。昔の廉価盤アナログや初期のCDの音は薄っぺらに聴こえたのが解消されたよう。各パートも聴きやすくなっているし、特にギターが強烈。”Death Trip”ではイギーのヴォーカルと絡んで前に来たり左右に振れたりでこのリマスターでようやく本来の意図していた音作りが感じられた気がする。
Disc 2 “Georgia Peaches”
01. Introduction
02. Raw Power
03. Head On
04. Gimme Danger
05. Search And Destroy
06. I Need Somebody
07. Heavy Liquid
08. Cock In My Pocket
09. Open Up And Bleed
10. Doojiman (Outtake From Raw Power Session)
11. Head On (CBS Studios rehearsal Performance)
ディスク2は1973年10月のライヴが収録されている。ここ20年にわたって、ストゥージスのライヴ盤は多数リリースされたきた。しかしそれらは「イギー公認」とはいえ、ほとんどがブートまがいの音質だったが、これは今までの中でもものすごく音のいい部類に入る。こんな音源があったとは!
ただしイヤホンで聴くとノイズがあちこち目立つが、そんなことはどうでもいいぐらいの素晴らしいライヴが繰り広げられている。”Raw Power”アルバムとこのディスクは2枚組でも販売されているので、まだ迷っている人に強くオススメしたい。このライヴは聴くべし!
ちなみに終わりの2曲はアウトテイクとリハーサルバージョン。
Disc 3 “Rarities, Outtakes & Alternates From The Raw Power Era”
01. I’m Hungry
02. I Got A Right
03. I’m Sick Of You
04. Hey, Peter
05. Shake Appeal
06. Death Trip
07. Gimme Danger
08. Your Pretty Face Is Going To Hell
このディスクはデラックス・エディションのみに含まれているもので、タイトルにあるように”Raw Power”のアウトテイクやレアテイク集となっている。
順番に1曲目は”Penetration”の演奏に乗ってイギーが「アイムハングリー」とひたすら言ってる曲。これがまたカッコイイのよ。2曲目と3曲目は”Raw Power”の最初期のセッションで録音された曲。これは昔”I’m Sick Of You”というタイトルでLPが出ていたよね。
4曲目は俺は初めて聴いたけど、これも没となった曲。5曲目6曲目はオルタネイト・ミックスというが、どこが違うのかよくわからん。そしてラスト2曲は97年のイギーによるリミックス。この2曲を入れるなら他に入れて欲しかった気もするが・・・。
Disc 4 – DVD:Search And Destroy: Iggy & The Stooges Raw Power documentary
最後のディスクはDVDで、”Raw Power”が作られた背景や当時のことなどをイギーやジェームス・ウィリアムソン、スコット・アシュトンのストゥージスのメンバーを始め、ヘンリー・ロリンズやジョニー・マー、クリッシー・ハインドなどがコメントを述べているドキュメンタリー。
残念ながら日本語字幕が無いから何を言ってるのかよく分からないけど、デヴィッド・ボウイの事務所「メインマン」と契約したイギーがどうしたとか、そういうことを話していた。とりあえず英語字幕を表示してなんとなく理解した。
とりあえず最初の2枚は「レガシー・エディション」としてリリースされているので、まだ聴いたことの無い人はぜひ聴いてみて欲しい。イギー・ポップ、ストゥージズがパンクの元祖と言われる所以が”Raw Power”にはあるから。余裕のある人はこれを買っておこう、損はしないから。
コメント
ディスク1とディスク2、俺もじっくり聴きなおしてみます。
ディスク3については俺もhiroumiさんと同意見。
ハーフオフィシャルやブートに入ってたいろんな曲が聴けるとよかったかな?
LA MOSCAさん
まあ3枚目のディスクは「おまけ」と思えば割り切れるけど、
このセットならではというほどでもないですね。
不満ではないですけどねw