間宮貴子『LOVE TRIP』のアナログ

間宮貴子 / LOVE TRIP

間宮貴子 / LOVE TRIP

何年か前からやたらと聞く「シティ・ポップ」というジャンル。かつては「ニューミュージック」と呼んでいた70年代から80年代にかけての邦楽ポップスのことで、歌謡曲とはまた違う位置づけだった。

それが今ではシティ・ポップとしてブームになっていて、それは海を飛び越え海外でも評価されているという状況なのは、俺がわざわざ書かなくても知っている人は多いだろう。

この間宮貴子の『LOVE TRIP』もシティ・ポップの中で注目を浴びている1枚だ。今回、俺はアナログを購入してきたのだが、数年前に再発されてから今回が3回目のリリースなんだよね。

SIDE A
1. LOVE TRIP
2. チャイニーズ・レストラン
3. 真夜中のジョーク
4. 哀しみは夜の向こう
5. ALL OR NOTHING

SIDE B
1. 渚でダンス
2. ONE MORE NIGHT
3. モーニング・フライト
4. たそがれは銀箔の・・・
5. WHAT A BROKEN HEART CAN DO

そもそもこの間宮貴子という人は、このアルバム1枚だけを残してシーンから消えてしまった謎の人。それ以前にPAO(パオ)というジャズ・コーラス・グループにいたらしいけど、シングル1枚で脱退してしまったようで、他にはまったく情報がでてこない。レコード会社にも何も残っていないのだろうか。

『LOVE TRIP』は1982年のリリースで、クレジットを見ると難波弘之とか椎名和夫といった人たちが演奏に参加し、井上鑑、来生たかおらが作曲、そして来生悦子や三浦徳子らが作詞に名を連ねている。全体的にミドルテンポの曲が多く、いまの感覚でいえば間違いなくAORの類に入る。

だから楽曲の心地良さはもちろんだが、間宮のヴォーカルも聴いていてクセになってくる。抜群に歌が上手いというタイプではなくてフラットな印象をうけるけど、そこが俺的には気に入っている。

とにかくすべてが「シティ・ポップ」というイメージに合致している素晴らしいアルバムだと思う。タワレコのサイトでのこのアルバムの紹介ページに、大貫妙子の『Sunshower』にも匹敵するアルバムと書いているが、その通りでもあるしそれ以上と言っても過言ではない。

ご本人はいまはどこでどうしているんでしょうね。リリース当時はまったく話題にならなかったなんて記述もどこかで見たけど、いまのこの盛り上がりぶりをどこかで見ているかもしれないね。