Jaco Pastorius / Word Of Mouth
ジャコ・パストリアス、1981年発表の2枚目のアルバム。1stアルバムの『ジャコ・パストリアスの肖像』ではベーシストとしてのジャコを堪能できると共に、それまでのベースという楽器の位置づけを大幅に変えた1枚であるが、この “Word Of Mouth(『ワード・オブ・マウス』)” は作曲家としてのジャコを印象付ける1枚だと思う。
- Crisis
- Three Views Of A Secret
- Liberty City
- Chromatic Fantasy
- Blackbird
- Word Of Mouth
- John and Mary
1曲目の”Crisis”はジャコのベースを聴いて、他のプレーヤーが音を重ねていくというフリージャズっぽい曲で、スピード感も凄い。2曲目はウェザー・リポートの “Night Passage”に入っていた曲でもあり、俺はこっちのバージョンの方が好き。3曲目はビッグ・バンドの特性を活かしていて、ジャコによるホーンのアレンジが聴きどころだろう。4曲目以降は組曲の如く流れていく展開が良い。バッハの曲をベースで奏でる4曲目とビートルズの5曲目の美しい流れに続く6曲目のタイトル曲はハード・ロック的な歪んだベースによる演奏。そしてラストは自身の子供たちの名前をタイトルにした壮大で優しさが溢れる曲の合計7曲で構成されている。
このアルバムを、いまをときめくSuchmosのベーシストが影響を受けたと語っていて、前々からジャコが好きであることは他所で読んで知っていたが、敢えてこのアルバムを挙げているところが良いなと思った。
その中で彼、HSUはこう語っている。
俺の予想なんだけど…。この人は若くして死んじゃったんだけど最終的には、多分ベースじゃなくてペンを持ってピアノに向かって、譜面を書いている人になっていたんじゃないかって話があって。それが垣間見えた、決定付けたアルバムだと思うんだよね。
ジャコの晩年の音源ではすでにピアノで弾いている曲が確認できているから、もしかしたらこうなっていたかもしれないというのは頷ける。俺も今では、もしジャコが生きていたらオーケストラの曲を作っていたかもしれないと想像するし、そんな風に思わせるのが “Word Of Mouth” ってアルバムなんだよね。
そういえば1年ぐらい前に似たようなことを書いているので参考までに貼っておこうか。