Olivia Newton-John / Physical
オリビア・ニュートン=ジョン、1981年リリースのアルバム『虹色の扉(原題:Physical)』の40周年デラックス・エディションがリリースされた。これでようやくCDで聴く機会を得たよ。
俺が洋楽を聴き始めて、ほぼ最初に買ったのがこのアルバムで、当時はミュージック・テープで買った。それからCDに何度かなっていたようだけど、タイミングを逃していて入手できていなかったのでこのリリースはとても嬉しい。
2枚のCDとDVDからなるセットで、これはオリビアがアメリカのPrimary Waveというレーベルとちょうど1年前に契約を結んだことにより実現したもののようだ。いま彼女のアルバムって全然CD化されていなくて、サブスクにもほとんどない状態であり、今後それらがリリースされるのではないかと期待している。
ディスク1
- Landslide
- Stranger’s Tough
- Make a Move On Me
- Falling
- Love Make Me Strong
- Physical
- Silvery Rain
- Carried Away
- Recovery
- The Promise (The Dolphin Song)
- Landslide (Edited Version)
- Heart Attack
- Tied Up (Edited Version)
- Twist of Fate
- (Livin’ In) Desperate Times (Re-mixed Version)
- Take a Chance
ディスク1は10曲目までが『虹色の扉』アルバム本編で、11曲目以降はボーナス・トラックとなる。アルバムは言うまでもなく素晴らしく、俺はCDの音質で聴くのは初めてなので(何せそれまではテープ)、リマスターされていてさらに良く聴こえる。久々に聴いて思ったのは、オリビアってこんなに声がかん高い人だったんだっけという。
やはりタイトル曲 “Physical” が最高で、80年代(1980年から1989年まで)における最大のヒット曲となったんだからね。ビルボードでは10週連続1位を記録したし、キャッシュボックスでは8週だったかな。90年代になるともっと長く1位になる曲も出てきたけど、それまでの最長記録を作った曲なんだからね。久々に何度も聴いているけど、やっぱりサビの「フィジカル、フィジカル」ってところがとてもキャッチーでスッと入ってくるんだよね。テンポも良いし、これはヒットして当然。
11曲目以降がボートラになるんだけど、”Heart Attack” と”Tied Up” は翌1982年にリリースされた『O.N.J.グレイテスト・ヒッツ Vol.2』に当時の新曲として収録された曲で、”Twist of Fate” 、”(Livin’ In) Desperate Times”、そして”Take a Chance” はオリビアがジョン・トラヴォルタと共に主演した映画『セカンド・チャンス(Two Of a Kind)』のサウンドトラックに収録された曲で、これはよくぞ収録してくれたなと思った。
ディスク2
- Tied Up
- Shaking You
- Face To Face
- Physical (Ling Version)
- Falling (Video Mix)
- Carried Away (Alternate Mix)
- Twist Of Fate (Alternate Mix)
- Livin’ In Desperate Times (Soundtrack Version)
- Twist Of Fate (Extended Version – Fade)
- Livin’ In Desperate Times (Alternate Soundtrack Version)
- Twist Of Fate (Extended Version – Cold Ending)
- Livin’ In Desperate Times (Extended Version)
- Livin’ In Desperate Times (Humberto’s Alternate Mix)
- Jolene (Live)
- Physical (Live – Extended Version)
ディスク2はリミックスとオルタネイト・バージョンを集めたものだが、最初の2曲は映画『セカンド・チャンス(Two Of a Kind)』からで、3曲目はビー・ジーズのバリー・ギブのアルバム “Now Voyager”(これがドイツとスペインとブラジルでしかリリースされていないものらしい)に収録されている曲でデュエット曲である。4曲目以降がいろんなというか、ほぼ “Livin’ In Desperate Times” のバリエーションといった感じ。そもそも何でこの曲、ディスク1に入っているやつは “(Livin’ In)”って括弧書きなんだろうか。最後2曲のライヴはシングルのB面曲として収録されていたもの。
ディスク3
ディスク3はDVDで、”Physial (Video Album)” と”Olivia In Concert” の2つのプログラムが収録されている。
“Physial (Video Album)”だが、これは1982年にVHSとレーザーディスクでリリースされたもので、「フィジカル」はもちろんだが、他の曲も当時、ミュージック・トマト(テレビ神奈川で放送していた洋楽PV番組)とかで見た記憶がある映像だった。
そして”Olivia In Concert” は1982年にアメリカで行われたコンサートを収録したもので、これもVHSとレーザーディスクでリリースされていたようだ。前半のまだカントリー・シンガー期の曲から、『ザナドゥ』からの曲、そして『虹色の扉』収録曲といった流れは盛り上がること必至だろうな。クレジットを見るとトム・スコットが音楽監督をしているようで、サックスでも参加しているんだね。こちらも「フィジカル」は見たことがある映像だった。
ただ映像は、いま見るとやはりダサい。オリビアもおばさんみたいなルックスで(当時30代前半から半ばぐらいだと思うが)、まさに80年代だなと。だけどこういうのはちゃんと残しておいてほしいので、ソフト化されるべきものである。
改めて確認すると、『虹色の扉』は彼女にとっては12枚目となるアルバムだったようで、それまでの「イフ・ノット・フォー・ユー」とか「ジョリーン」、「そよ風の誘惑」といったカントリーの要素も含むヒット曲から、大胆なイメージチェンジを果たしたものだと思う。本人も「フィジカル」をシングルで出すことは躊躇ったようだが、たぶんこの曲が無かったら俺はこの人のアルバムは1枚も聴かずに終えていたと思う。当時AMラジオの洋楽ヒットチャートを紹介する番組で流れてきたときにインパクトは相当なものだったし、それはアメリカにおいても同じだったから10週連続1位という怪物的な記録を生んだのだと思う。
「フィジカル」ばかりが目立つアルバムではあるけど、後世に聴き継がれていくべき1枚であることは間違いないでしょう。