バンド編成のKIRINJIはひとまず今年で終わり、今後は堀込高樹のソロプロジェクト的な展開となるということで、バンド時代を総括したベスト盤が出た。
KIRINJIとしてはオリジナル・アルバムを4枚、そしてリアレンジしたアルバムを1枚リリースしているが、このベスト盤はオリジナル・アルバムの発表順に4曲ずつが選ばれて収録されている。
- 進水式
- 雲吞ガール
- fugitive
- だれかさんとだれかさんが
- 日々是観光
- 真夏のサーガ
- The Great Journey
- Mr. Boogieman
- AIの逃避行
- 時間がない
- 悪夢を見るチーズ
- Silver Girl
- Killer Tune Kills Me
- Almond Eyes
- 雑務
- 「あの娘は誰?」と言わせたい
1~4曲目が『11』、2~8曲目が『ネオ』、9~12曲目が『愛をあるだけ、すべて』、そして13~16曲目が『cherish』からである。ベスト盤としては申し分のない選曲で、バンド編成のKIRINJIの魅力を伝えるには十分すぎる内容だろう。
そしてデラックス・エディションとしてボーナス・ディスクとBlu-rayの3枚組もあって、今回はこれを購入した。ボーナス・ディスクはバンド編成になって参加したトリビュート・アルバムに収録された曲や、他のアーチストへの提供曲、そしてファンクラブ向けの年賀状ソング(?)を収録している。
- 黒のクレール(オリジナル:大貫妙子)
- Keep Tryin’(オリジナル:宇多田ヒカル)
- うちゅうひこうしのうた(オリジナル:坂本真綾)
- Diamonds(RHYMESTERへの提供曲)
- 愛は光(Negiccoへの提供曲)
- 年賀状ソング2016
- 年賀状ソング2017
Blu-rayは、今年7月に行われた配信スタジオライヴを再編集して収録したもので、7月に2回とも見たのでこのディスク自体はいまはまだ見ていない。本当ならライヴに行く予定だったんだけどコロナ禍で中止になってしまったのがとても残念だったな。
バンド編成となったKIRINJIにはこの7年間本当に楽しませてもらえた。兄弟時代からの延長線にありながらも、バンドの個性も併せ持った『11』、RHYMESTERをフィーチャーし、KIRINJIがラップを取り入れたある意味「事件」だった『ネオ』、唯一無二の個性であるコトリンゴが脱退してしまったものの、いまの音楽要素も取り入れた『愛をあるだけ、すべて』、そして前作の延長にありながらもミニマルに突き進んだ『cherish』、どれも同じタイプのアルバムになっていないのがこのバンドの凄いところである。
そして個人的な想いであるが、俺がこれほどまでにこのバンドに夢中になるのは、兄弟時代のような難解な歌詞ではなく「時間がない」に代表されるような、共感できる曲があるからだ。俺もいつも「あと何日食事できるか、今日が最後かもしれない」なんて思ったりするし、特に何も成し得てない俺としては本当に時間がないと思ってしまう。そんな気持ちを歌詞にして吐露した堀込高樹は信用に値する数少ないミュージシャンだと思った瞬間でもあった。
今後のKIRINJIはどう展開していくのか、ただただ楽しみでしかない。時間はないかもしれないが、そんな少なくなってきた時間を使ってこれからも聴いていきたい、そんなバンドでありベスト盤である。
とはいえ、あの曲が入ってないぞ!と思う点もあるので、俺がベストを組むとしたらこんな選曲ってのをSpotifyでプレイリストにしてみたので載せておく。もちろん曲は多数被っているけど。
そして過去に書いた4枚のアルバムについての記事も以下に貼っておくのでよかったらどうぞ。