渋谷Bunkamuraのル・シネマにて、『ジョアン・ジルベルト ライヴ・イン・トーキョー』を観てきた。
ル・シネマでは3月8日から3月14日までのわずか1週間、しかも午前11時からの1回だけの上映というので、我が家では予約が可能な上映日の3日前の深夜0時からスタンバって席を確保した。翌日にサイトでの予約状況を見ても余裕で予約できそうだったのだが、いざ会場に行ってみるとやはり「完売」だった。当日券を買おうと来た人が撃沈してたからね。
上映。ステージにジョアンが現れる、スクリーンとはいえまるでコンサート会場にいるかのような雰囲気。実際のライヴとの違いは、スクリーン上でジョアンがアップになったりギターを弾く指の動きを見ることができたり、実際の会場だったら米粒ぐらいにしか見えないかもしれないから、そこがスクリーンの利点だろうか。
曲が始まると場内がシーンとし、咳払いもせず演奏と歌を聴く。2003年の初来日の時の緊張感がそのまま甦ってくる。スクリーンなのにだよ。俺も身動き一つせずジョアンの一挙一動を観る。
ギターも曲の始まりはベース音を強調していたかと思いきやすぐに「バチーダ」というボサノヴァのリズムになったり、サンバのようになったり、曲はシンプルなのに実はギターではいろいろやっていることを再発見できた。
ずっと緊張しながら観ていたが、”O Pato”を歌っている時にジョアンのメガネが鼻から落ちるという場面があって、そこはライヴの客席も、スクリーンを観ている我々も笑ってしまった。そこでジョアンも笑って小さい声で “Sorry”と言いながら直すも、しばらく照れ笑いをしていて、初めてジョアン・ジルベルトの「人」というものを見た気がした。
その時に俺は不意に涙が流れてしまったんだ。なんか安心したというか、そんな理由で。ジョアンが2003年、2004年、そして2006年と何度も来日してくれたのも、日本のオーディエンスに心を許してくれてたんだなと、その時に改めて思ったんだよね。あの照れ笑いを見てそう感じた。
今回上映されたものは、作品としてBlu-rayやDVDでリリースされるわけで、我が家でももちろん予約済みなんだけど、大きいスクリーンで観ておいてよかった。映画ではなくライヴを観た気分になれたしね。終わってから拍手が沸き起こったけど、そりゃそうなるよね。最高だった。
Blu-rayが届くのが楽しみだ。