音楽愛好家の口癖として「今までに何百回聴いたかわからない」ってのがあるけど、一般的な見解だと本当にそんなに聴いてきたの?大げさに言ってるんじゃないの?などと思う人もいることだろう。実は俺もそう思ってきた。だけど昨日『ガウチョ』を聴きながらそのことを考えてみたが、あながち大げさではないことに気がついた。
俺が初めて『ガウチョ』を聴いたのが21歳の時。それ以来毎年、必ずといっていいほど個人的なスティーリー・ダン・ブームがあって、何度もアルバムを聴いている。少なく見積もって10回としよう。それから21年が経った今、つまり210回は聴いているということになる。もちろん10回も聴いていない年もあれば、50回ぐらい聴いている年もあったはず。平均を20回としても21年間で420回。必ずしもではないから「何百回聴いているか分からない」というのが成り立つわけだ。現にこの3日間だけで5回も聴いているし、今年に入って10回以上は聴いていると確信しているよ。
と、長い前置きはいいとして、来ましたよ、『ガウチョ』のDVDオーディオ盤。もうすでに何度か聴いているけど、これはもう別のアルバムだね。良い意味で。俺は基本的にリマスターでもリミックスでも、従来のアルバムとの違いが音に現れていればそれで満足できてしまうので、このDVDオーディオについても全面的に肯定する。それを踏まえて各曲の気づいたところとかを。
1. Babylon Sisters
イントロはやけに音が小さく感じられたけど、女性コーラスの「ばっびろんしすた~ず、しぇけっ!」声に厚みがり、ホーンの音も同じく。サラウンドの効果を実感できるね。
2. Hey Nineteen
従来のCDでは出だし1発目のギターとドラムの音に勢いが感じられるんだけど、DVDオーディオ盤ではそれがやや希薄。そして、今までまったく意識していなかったコンガの音が後半からやたらと目立つ。こんな音入っていたの?なんて思ったほど。だけどCDで聴きなおしてみたところ、かすかだけど確かに入っていた。
3. Glamour Profession
この曲は印象がかなり変わったね。これも女性コーラスなんだけど、従来CDでは”It’s a glamour profession”のところは「っぁぐらまぷろふぇーしょん」って感じの聴こえ方をしていたのが、DVD盤ではしっかり「いっつぁ、ぐらまぷろーふぇっしょん!」と、しっかり聴こえる。たったこれだけで別の曲に思えたから不思議。ここまでの3曲はアナログで言うとA面にあたるんだけど、ホーンとコーラスに重点を置いたようなミックスに感じた。そして、ドナルド・フェイゲンのヴォーカルは半歩もしくは1歩後ろに下げたかのよう。CDではあんなに「濃い」と思っていたフェイゲンの声が、まるで『エイジャ』のような感じになっているから。
アナログB面にあたる以降4曲は、どちらかというと全体的にまんべんなくミックスしたよって印象。最初の3曲みたいな極端な感想は特にない。
4. Gaucho
これはもうサビの”Who is the gaucho amigo”以降の音の厚みに限るね。ホーンの音も、すぐそこにいるんじゃないかってぐらい。
5. Time Out Of Mind
なんか鳩の鳴き声みたいなキーボードが終始鳴っていて、CDではこれは全然気がつかなかったよなぁ。マーク・ノップラー以外のギターの音がちゃんと聴こえている。
6. My Rival
アルバム中最も地味なこの曲でさえ、サラウンドの恩恵で存在感が上がった。やはり音の情報量がCDとは違うから、細部までしっかり聴こえる。すべての曲に共通して言えることだけど、録音されているすべての楽器が聴こえてきているんだろうなと思う。
7. Third World Man
この曲もサビの部分での音の厚みと深みが増している。ラストに相応しい壮大さがさらに加わった感じ。最後のフェイドアウトが惜しいままに終わっていくかのよう。
結論、Amazonのレビューでもどなたかが「鬼ガウチョ」と書かれていたけど、本当にそうだと思う。俺もこれは気に入った。従来のCDだってリマスターで音が良くなったと思っていたのに、これでもかと、まだ突きつけてくるとはね。俺、このアルバムを死ぬまでに何千回聴くかわからないよ。
コメント
こんばんは。
レビュー堪能させてもらいました。
CD(SACD)とは、違う聴こえ方の曲(箇所)がそこそこありそうですね。
ワタシもAMAZONでたった今ポチリました^^
どうぷさん
実は上の写真の左の奥に写っているのがSACD+CDってやつなんですけど、
SACDを再生できる環境がないので聴いたことがないのです。
ぜひ聴き比べてその感想を教えてください。
こんばんは。
今日無事家にも届きました。
簡単ですが、拙ブログに感想を載せましたのでご覧戴ければ幸いです。
DVD-Audioはやはり独自に何らかの味付けがなされてるように感じました。
よりエンタメ風にシフトした感じの音像とでも言えば良いかな?!
個人的にはリニアなSACDが好みですが、明確な違いのある
DVD-Audioがこんな価格で入手できたのは良い買い物だったと思ってます^^