イギリス出身のR&Bシンガー、エステルの6枚目となるアルバム。このブログでは取り上げたことがないが、実は俺はこの人の初期のアルバムがかなり好きなのである。とりわけ2枚目の『Shine』というアルバムには、カニエ・ウエストをフィーチャーした”American Boy“という、彼女の最大のヒット曲が入っていて、俺の好きな2000年代の曲のひとつでもある。
初期の2枚はR&Bだけでなくラヴァーズ・ロック風の曲もあって、アメリカのR&B歌手とはひと味違ったタイプだったのが良かったのだけど、その後がアメリカ寄りになってしまった印象があって、俺としてはあまりパッとしなかった。前作は前から彼女が作りたかったラヴァーズ・ロックなアルバムではあったけどそれも刺さらなかった。
そこから7年ぶりとなったのが本作。その前に予告編的なEPがサブスクには上がっていて、それを聴いたときに「おっ!」となったのだが、今回のアルバムは1曲目が始まった瞬間に「これは良い!」と思い、最後まで聴いてそれを確信した。
リリースされたのが5/23ぐらいのようで、これを書いている時点では海外のメディアもほとんど取り上げていないところに「過去の人」っぽい扱いを感じてしまうが、数少ない記事によると今回のアルバムは「内省と再調整を経て生まれたアルバム」だとエステル自身が語っている。

恐らく、自身のキャリアとかやってきた音楽を見直す必要があったと考えていたのかもしれない。それで出た結論が「喜びを選ぶこと」。そしてそれがダイレクトに楽曲に反映されているかのような印象を受ける。「自分自身が踊りたくなるアルバム」とも語っているし。
- Outside
- Oh I
- Greatful
- Love On Love
- Roses (Now’s The Time)
- Like He Is
- Fire
- Stay Alta
- Let It Drop
- On Time “Honey Honey”
- New Direction
- Start Over
1曲目から気分が上がってくる曲でガンガン攻めてくるところが良い、最後まで一気に聴けるのは、終盤に”New Direction”を持ってきているからなのだろうか。この曲が先にリリースされていたEPのタイトル曲で、エステル・カムバック!と思わせてくれたので、今回のキラー・チューンでもある。
しばらくはこのアルバムをリピートするだろう。すでにここ数日で10回以上は聴いているし。