ジョン・レノンの映画『ジョン・レノン、ニューヨーク(原題LENNONYC)』を観た。
これはジョンとヨーコがニューヨークへ移り住んでからの10年を描いたもので、
ジョンの映画としては『イマジン』が有名だけど、それよりも後の時代のことがメインで、
アルバムで言うと、『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』以降になるのかな。
『イマジン』の頃までのジョンは、普遍的な思想に重きを置いていたのに対して、
『サムタイム~』では直接的な左翼思想で激しくアジテートし始める。
それが元で、ジョンだけでなくその周辺にいた人たちまでがFBIにマークされ、
その活動へのマスコミや評論家からのバッシングが元でヨーコとは仲たがいをして、
有名な「失われた週末」では酒びたりの毎日を。
『ロックン・ロール』のセッションでのフィル・スペクターとの確執や
エルトン・ジョンとの合同ライヴの話も出てくる。
ニューヨークへ戻りヨーコと再び暮らし始め、ショーンが産まれるとジョンは主夫をし、
そして5年間をショーンと過ごすうちに音楽への情熱を取り戻し『ダブル・ファンタジー』を製作、そして・・・。
大まかにはこんな流れで、ヨーコや『ダブル・ファンタジー』のプロデューサーである
ジャック・ダグラスとか、クラウス・フォアマンや、多くのミュージシャンによるインタビューで構成されている。
その中でいちばん印象的だったのは、ジャック・ダグラスが、ジョンの主夫業の時期について
「彼は欲しかった普通の生活をやっと手に入れたんだ」というような発言。
そこに1人の人間としてのジョンを感じた。
ジョンは自分の歌や発言、振舞いなどによる影響力を気にしていたようで、
確か映画『イマジン』でもジョンの屋敷の庭に忍び込んだ変わったファンを自宅に招き入れて、
一緒に朝食をとるシーンがあったけど、ジョンはそういう思い入れの強すぎるファンのことを気にかけて
「自分に責任がある」と思っていたと、ヨーコが回想しているシーンがあった。
ジョンはビートルズをやる以前から、有名になりたいなんて願望はなかったんじゃないだろうか?
そりゃあ若いうちはそういうことを思っていたかもしれないが、ビートルズでの成功があまりにも大きすぎたんだろうね。
きっとごく普通の人の、普通の人生を歩みたかったんだなと。
このDVDはジョンの最も人間くさい部分を描いた作品だなって思った。
ところで、ジョンが『ダブル・ファンタジー』を録音するきっかけとして、
幼いショーンがテレビで「アニメ・ビートルズ」を見てジョンに「パパはビートルズだったの?」
と聞かれたから、ミュージシャンとしての父親を見せる気になったという話が以前はあったけど、
これって結局事実ではなかったのかな・・・、今では言われないよね?