前回からの続きで、今回はドアーズの『ボックス・セット』のこと。本当は2回に分けて書くつもりは無かったんだけど、前置きがやたらと長くなってしまったので。
改めて言っておくが、これはドアーズの1997年にリリースされた『ボックス・セット (“The Doors Box Set”』のことであって、1stアルバム(邦題『ハートに灯をつけて』)の50周年デラックス・エディションのことではないので。(何でこんな断りが必要なのか、書いている俺が理解できねえわ。)
ディスク1:Without A Safety Net
- Five To One (Live at the Dinner Key Auditorium, Miami, March 1, 1969)
- Queen Of The Highway (Alternate jazz version recorded at Elektra Sound Recorders Studios, 962 La Cienega Boulevard, Los Angeles, 90069, 1969)
- Hyacinth House (Demo recorded at Krieger’s home studio, 1969)
- My Eyes Have Seen You (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, California, September 2, 1965)
- Who Scared You (Recorded at Elektra Sound Recorders Studios, 962 La Cienega Boulevard, Los Angeles, 90069, 1969)
- Black Train Song (Live at The Spectrum, Philadelphia, May 1, 1970)
- End Of The Night (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, California, September 2, 1965)
- Whiskey, Mystics And Men (Recorded at Elektra Sound Recorders Studios, 962 La Cienega Boulevard, Los Angeles, 90069, 1970)
- I Will Never Be Untrue (Live at the Aquarius Theater, Hollywood, California, July 22, 1969)
- Moonlight Drive (Demo) (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, California, September 2, 1965)
- Moonlight Drive (Sunset Sound) (Sunset Sound mix recorded at Sunset Sound Studios, Los Angeles, California, August 29, 1966)
- Rock Is Dead (Recorded at Elektra Sound Recorders Studios, 962 La Cienega Boulevard, Los Angeles, 90069, February 25, 1969)
- Albinoni’s Adagio In G Minor (Recorded at TTG Studios, Los Angeles, California, 1968)
ディスク1はデモ音源やライヴ音源、スタジオでのセッションが収録されている。いきなり1曲目が70年のマイアミってところがいいね。マイアミ、ジム・モリソンがステージ上でち〇こを出したとか出してないとか言われている伝説のステージ。
1965年に録音されているデモ3曲はまだバンドのスタイルが確立されていない、もしくはその途中という感じで面白い。逆に69年とか70年のデモやジャム・セッションは落ち着いた印象がする。ライヴ音源では “Black Train Song” が聴きものだと思う。
ディスク2:Live In New York
- Roadhouse Blues
- Ship Of Fools
- Peace Frog
- Blue Sunday
- The Celebration Of The Lizard
- Gloria
- Crawling King Snake
- Money
- Poontang Blues / Build Me A Woman / Sunday Trucker
- The End
ディスク2は1970年1月17日にニューヨークで行われたライヴのアーリー・ショウとレイト・ショウの音源を中心にまとめたもので、一つのライヴ作品として聴ける。”Roadhouse Blues” が好きな俺としてはこの曲から始まるとか、なんて最高な出だしなんだと思うね。2曲目3曲目はライヴではあまりやらなかったとメンバーは言ってるし、”Celebration Of The Lizard” は『アブソルートリー・ライヴ』に入っているものよりも長尺。”Gloria” は『アライヴ、シー・クライド』に入っていた音源のレストア版といった感じ。そしてラストの “The End” はジムもバンドの演奏も最高の状態だったんじゃないかと思う。18分もやっている。
ドアーズのライヴはジム・モリスンがあちこち脱線してしまって、本来やる曲がなかなかできないとか、急遽他の曲になったりするなんて読んだことがあるが、こうしていくつかのライヴ盤を聴いていると、そんなジムに合わせていく3人のメンバーは凄いよなっていつも思う。
ディスク3:The Future Ain’t What It Used To Be
- Hello To The Cities (Live on the Ed Sullivan Show, 1967 and at Cobo Hall, Detroit, 1970)
- Break On Through (Live at the Isle of Wight Festival, England, UK, August 29, 1970)
- Rock Me (Live at the PNE Coliseum, Vancouver, Canada, June 6, 1970)
- Money (Live at the PNE Coliseum, Vancouver, Canada, June 6, 1970)
- Someday Soon (Live at the Seattle Center, Seattle, June 5, 1970)
- Go Insane (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, September 2, 1965)
- Mental Floss (Live at the Aquarius Theater, Hollywood, July 22, 1969)
- Summer’s Almost Gone (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, September 2, 1965)
- Adolph Hitler (Live at Boston Gardens, Boston, 1970)
- Hello, I Love You (Demo recorded at World Pacific Studios, Los Angeles, September 2, 1965)
- The Crystal Ship (Live at The Matrix, San Francisco, March 10, 1967)
- I Can’t See Your Face In My Mind (Live at The Matrix, San Francisco, March 7, 1967)
- The Soft Parade (Live on PBS Television, New York City, April 28, 1969)
- Tightrope Ride (The Doors Workshop, Los Angeles, 1971)
- Orange County Suite (Recorded at Elektra Sound Recorders Studios, 962 La Cienega Boulevard, Los Angeles, 90069, 1970)
ディスク3もデモやライヴ音源をあれこれ詰め込んだもので、このボックスがリリースされた時点では珍しいタイトルの曲が結構並んでいたように記憶している。そして何よりも当時話題になったのが完全なる未発表曲だった “Orange County Suite” で、やたらとこの曲に注目が集まっていたような気がする。大人しい曲で俺はそんなに惹かれなかったけどね。それよりも “The Soft Parade” のTV出演時のライヴ音源が嬉しかった。この曲をライヴで聴けるなんて思いもしなかったので(ライヴでやったんだって思ってたぐらいなので)。ちなみに “Tightrope Ride” はジム亡き後の3人によるドアーズのアルバムから唯一の選曲。
ディスク4:Band Favorites
- Light My Fire
- Peace Frog
- Wishful Sinful
- Take It As It Comes
- L.A. Woman
- I Can’t See Your Face In My Mind
- Land Ho!
- Yes, The River Knows
- Shaman’s Blues
- You’re Lost Little Girl
- Love Me Two Times
- When The Music’s Over
- The Unknown Soldier
- Wild Child
- Riders On The Storm
ディスク4はバンドメンバーの選曲によるベスト的な内容。最初の5曲がロビー・クリーガー、次の5曲がレイ・マンザレク、そして最後の5曲がジョン・デンズモアによるもの。様々なベスト盤が出ているのだから、これは正直不要という気がしないでもない。でもコンピレーションとして聴くにはちょうど良い。
以上、わりと簡単にだがドアーズの『ボックス・セット』について。レコード・コレクターズの2007年9月号のドアーズ特集におけるこのボックスの説明には、不本意な編集がされている曲があるとか、盤おこしとか、ブックレットの記載ミスなんかが指摘されているが、そこまで気にしていなかったし、いまも気にしていないからどうでもいい。俺は優れたボックス・セットだと今でも思っているし、今後新たな編集盤がリリースされたとしてもこのボックスに入っている曲はそうそう選ばれないだろうなって思っている。もしすでにいろんなところに分散されて収録されていたら、それは俺が知らないだけなんだけどね。