前作『モーフ・ザ・キャット』から6年ぶりとなったドナルド・フェイゲン、4枚目のソロ・アルバム。発売日前日にすでに新宿のタワーレコードにあったので日本盤を購入。それ以来ほぼこのアルバムだけを繰り替えし聴いているところだ。
01. Slinky Thing
02. I’m Not The Same Without You
03. Memorabilia
04. Weather In My Head
05. The New Breed
06. Out Of The Ghetto
07. Miss Marlene
08. Good Stuff
09. Planet D’rhonda
まず、アルバムのタイトルだが、『サンケン・コンドス』とは訳してみると「沈んだコンドミニアム」ということになる。ジャケットの海の中に沈んだ建物が示すとおりだが、俺は最初は過去の文明のことを表しているのかなと思ったのだが、ジャケットをよく見ると沈んでいるのはビルディングだ。そして歌詞を見ると4曲目の「ウェザー・イン・マイ・ヘッド」では、ビル・クリントン政権時の副大統領でもあったアル・ゴアの名前も出てくる。ゴアは地球温暖化防止の活動に積極的に参加していた人で、この名前が出てくるということは、温暖化による海面上昇によってジャケットに描かれたビルが沈んでいると解釈できる。
アルバム全体がそういうことを歌っているわけではないが、少なくとも次世代の世界を歌っているのかなと思わせるところがいくつかある。例えば5曲目の『ザ・ニュー・ブリード』は、歌の中で明言しているわけではないが、自分よりも若い世代に道を譲っているのだけど、その相手が人間なのか、はたまたコンピュータとかアンドロイドとか、そういう類なのかなと深読みしたくなる。まあまだ歌詞を読み込んでいく必要があるが、今回も一つのコンセプト的なものがあるのは確かなようだ。
収録されているのは9曲で、前作がやや重めなテーマだっただけに今回は軽めに聴こえる。だけど安心のクオリティであることは間違いない。この聴きやすさに不満のフェイゲンおよびスティーリー・ダン・フリークもいると思うけど、俺は新しい曲が聴けるってだけで十分嬉しいので、絶賛させてもらうよ。
だけど1曲だけ不満の残るところがあって、7曲目の「アウト・オブ・ザ・ゲットー」がそれ。別にアイザック・ヘイズのカバーだからって訳でなく、アレンジ面に関してだ。曲の後半でバイオリンが高らかと鳴り響く箇所があって、そこがどうもいただけない。そこはホーンでしょ!と言いたくなる。どうもロックやポップ・ミュージックで弦楽器が絡むのって昔から好きになれないんだよね。でもこの曲でのフェイゲンのヴォーカルは大変良い感じだ。
そして最初のシングルとなる「アイム・ノット・ザ・セイム・ウィズアウト・ユー」だが、イントロの感じや曲調を聴いていて、どこかで聴いたことがあるなと思っていたのだけど、これがまた、スティーリー・ダンの『ガウチョ』のアウトテイクである”Kluee Baba”みたいなんだよね。
2000年以降のスティーリー・ダン、ドナルド・フェイゲンのアルバムで、シングルになった曲、もしくはシングル向けの曲って全部2曲目に入っているけど、意図的にそういう流れにしているのだろうか?
ところで、今回日本盤を買ってライナーを読んで知ったのだけど、スティーリー・ダン時代からずっとエンジニアを務めてきたロジャー・「ジ・イモータル」・ニコルスが、2011年に亡くなってしまったそうだ・・・。すごく残念でならない。
さて、月末には来日公演があって、俺は11/1の武道館を見る予定でいるけど、この新作からは何曲やってくれるだろうか?ボズ・スキャッグスとマイケル・マクドナルドとの3人による公演だから、1人あたりの持ち時間は30分から45分ぐらい?一つだけ希望を言うなら、スティーリー・ダンの「ペグ」はやらないでいいからね。その分ソロの曲をやってちょうだい。
コメント
初めてコメントさせていただきます。
自分も昨日購入しました。
音を削ぎ落として必要な音だけを入れた
そんなアルバムだと思います。
前作より聴きやすいですよね。
今回も渋い仕上がりです。
soulmansさん
コメントどうもです!
前作がやや重い感じだったので、今回のアルバムはものすごく聴きやすくなっていると思いますねぇ。
個人的には音数の少ないNew Breed がベストトラックです。
ブログ拝見しました!今後も覗かせていただきますね。