ドナルド・フェイゲン『Kamakiriad』のこと

Donald Fagen / Kamakiriad

Donald Fagen / Kamakiriad

ドナルド・フェイゲン、1993年にリリースした2枚目のアルバム『カマキリアド』。最近よく聴いていて、『ザ・ナイトフライ』よりも聴いているような気がする。

もちろん、リリースされた当時もよく聴いたし、そもそもフェイゲンさんのアルバムはどれもまんべんなく聴いてはいる。でもこのアルバムは他の3枚よりも聴く頻度が少なかったかもしれない。じゃあ何で最近よく聴いているのか。結構単純な理由からなのです。

その理由の前にまずは曲目を。

  1. Trans-Island Skyway
  2. Countermoon
  3. Springtime
  4. Snowbound
  5. Tomorrow’s Girls
  6. Florida Room
  7. On The Dunes
  8. Teahouse On The Tracks

俺の持っているCDは、1993年にリリースされた当時の日本盤で、これをずっと聴いてきたわけなんだけど、何かで2曲目の “Countermoon” には「最初のプレスには無かったスネアの音が入っている」みたいな記事を読んだのですよ。レココレのフェイゲン特集かなと思って、先ほどパラパラ見てみたけど違うようだし、どこで読んだんだろう。

とにかく、「え、なにそれ」と思って俺は “The Nightfly Trilogy” の『カマキリアド』を引っ張り出して早速聴いてみた。

https://www.tokyo-ongaku.com/?p=25

すると、曲の開始から1分25秒ぐらいのところ、フェイゲンがワンコーラス歌い終わった直後にドラムが「 タ・タン! タ・タン!」と激しく2回鳴るではないか。俺がそれまで聴いていた日本盤にはそんな音は入っていない。どうやら最初のプレス分だけは入っていないらしい。俺は20年ぐらいそれに気づかなかったんだよね。

YouTubeに両方のバージョンがあったから聴いてみて欲しい。開始から1分25秒あたりね。入っていないバージョン、入っているバージョンの順番で。

スネアが鳴らないバージョン
スネアが鳴るバージョン

たったこれだけなんだけど、このスネアの音の有る無しだけで曲の印象はおろか、アルバム全体の印象が変わったんだよね。それを知って以来、ずっと後者の方を聴いているんだけど、改めて良いアルバムだなと思ったんだよね。

リリースされた当時に思ったのは、スティーリー・ダンや『ザ・ナイトフライ』とはちょっと違ってリズムがなんか固いし、全体的に平坦な印象だったし、要は「らしくない」と思っていた。でも今はものすごくすんなり入ってくる。

恐らく、このアルバムを聴いた人が戸惑う部分て冒頭の3曲なんじゃないかと思う。流れがずっと同じように聴こえるし、4曲目がウォルター・ベッカーとの共作と来るもんだからなおさら。さらにその後がアルバム中最もキャッチーな曲と続くからね。

で、再び “Countermoon”の話に戻るけど、正直それほど好きな曲じゃなかったのが、スネアの音が入っただけで印象が180度変わったのが自分でも不思議でしょうがない。どういうことなんだろうか、自分で書いておいてアレだけど。そもそもなぜ最初のプレスでは入っていなかったんだろうね。

とりあえず、それだけは言っておきたかったので書いてみました。『ザ・ナイトフライ』ばかりでなく、このアルバムも聴いてください、みなさんも。

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