極私的オールタイムベスト50アルバム【最終回】

The Velvet Underground / White Light/White Heat
The Velvet Underground / White Light/White Heat(1968年)
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムでは本作が最も好きだ。とても荒い演奏にノイズが出てもお構いなしという姿勢が、まるで狙ったかのようではなくごく自然に発生しているように聴こえるからだ。”The Gift”のような詩の朗読がメインの曲を入れるところなんて、商業音楽ではなくあくまでもアートだという主張が伝わってくる。そしてやっぱり”Sister Ray”が白眉なんだろうな、ライヴではここに入っている(約18分)ものよりも尺が倍ぐらいになったりと、かなり自由度の高い演奏が聴けたりする。このアルバムほど自由奔放な印象を受けるものはないね。

Weather Report / Night Passage
Weather Report / Night Passage(1980年)
ウェザー・リポートはジャコ・パストリアスから入っていって、長い間ジャコ在籍時のアルバムしか持っていなかったけど今では全アルバムを聴いたことで、ジョー・ザヴィヌルの素晴らしさに気が付いている。とはいえ、ジャコ在籍時のアルバムが好きで中でもこのアルバムは全キャリア通して最高の1枚じゃないかと思う。”Mr. Gone”でキャッチーではない音楽を展開して、それはそれでものすごく魅力的で好きだけど、シンプルに「聴こえる」作りであるこのアルバムは聴けば聴くほど末恐ろしいものを感じる。特にタイトル曲の後半に進むにつれて展開されていく感じが。この時代のウェザー・リポートを観てみたかった。

Yes / Close To The Edge
Yes / Close To The Edge(1972年)
プログレで一番好きなのはイエスだ。きっかけは「ロンリー・ハート」だったけど、すぐに”Fragile”や本作を聴いてはまっていった。昔、中学生のころに、FM番組表にこのアルバムに収録の”And You And I”が載っていて、邦題で「同志」だの「牧師と教師」だの書かれていて、バンド名がイエスなもんだから、キリスト教とものすごい関係のある怪しいバンドなのかと思っていたのがファーストコンタクトだったことを思い出す。長尺の曲が好きになったのはイエスがきっかけだったと思う。タイトル曲は18分もあるけど、一気に聴きとおせるのでとても短く感じる。クリス・スクワイアも亡くなってしまって、それでも活動を続けるらしいがどうなることやら。ジョン・アンダーソン復帰してよ。

YELLOW MAGIC ORCHESTRA / Technodelic
YELLOW MAGIC ORCHESTRA / Technodelic(1981年)
YMOは当時大人から小学生まで幅広い支持を受けていた。俺は彼らが出てきた当初は小学生だったから、大人がどういう聴き方をしていたのかわからないけど、子供目線では「ゲームのような音が出ている」という、多くはそういう興奮だったんじゃなかったかと思う。で、この『テクノデリック』は前作『BGM』とともにファンを切り離しにかかっていて、FM番組で録音したこのアルバムの曲を、当時の友達にYMOの新しいアルバムだと聴かせたら「こんなのがいいの?」と言われて、いやいやあんた「テクノポリス」とか「ライディーン」とか喜んで聴いていたじゃんと思ったものだ。何でこんなにこのアルバムが好きかは以下の記事を読んでいただきたい。
関連記事:YMOの『テクノデリック』が好きな理由が今わかったという話

椎名林檎 / 勝訴ストリップ
椎名林檎 / 勝訴ストリップ(2000年)
椎名林檎も2枚目となるこのアルバムで、それまでについたイメージ「新宿系」だったっけ?それを取り払うようなことをしているなと思った。実際にこのアルバムは聴く人を選ぶと思うし、アルバムから曲名の並びや収録時間をシンメトリーにしてみたりと、彼女の美学が徹底され始めているのが面白い。『無罪モラトリアム』の延長ではないことは確か。当時観に行った「下剋上エクスタシー」ではJ-Pop好きなお客さんと林檎さんとの間に乖離があるように思えた記憶がある。

以上、これで50枚紹介が終わりです。10年後ぐらいにこのブログがあったらまたチョイスしてみようと思います。

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