「タッグ・オブ・ウォー」時期のレコーディング

Paul McCartney

ポール・マッカートニーの『タッグ・オブ・ウォー』と『パイプス・オブ・ピース』は同じレコーディング・セッションで録音された曲を使っている。後者のアルバムには後に新しく録音した曲も含まれているが、基本は同一の関連のあるアルバムであろう。ここでは、レコーディングがどの時系列で行われたかを書いていきたい。元ネタは海外の“The Beatles Bible”というサイトの“Tug Of War”を参考にさせてもらった。

1980年8月
・ポールは自宅で後の2枚のアルバムに収録される曲のデモを録音

1980年10月
・ポール、リンダ、そしてデニー・レインはウイングスとしてのリハーサルを行う

1980年10月~11月
・イギリスのアニメ「ルパートとカエルの歌」の主題歌として、”We All Stand Together”を録音。この時のプロデュースをジョージ・マーティンが行い、その後のプロジェクトも彼がプロデュースすることになった

1980年12月
・ジョージ・マーティン所有のロンドンのAIRスタジオにて、『タッグ・オブ・ウォー』のレコーディング・セッションを開始。
・12月7日に以下の3曲を録音、”Ballroom Dancing”, “Keep Under Cover”, “All The Love Is There”
・12月8日、ジョン・レノン死亡
・12月9日早朝、ジョンの訃報を聞いたポールは動揺し、自身を落ち着かせるために”Rainclouds”のオーバーダブを行う
・12月14日~16日、”Tug Of War”のデモを録音、”Ballroom Dancing”の作業も行う
・その他、詳しい日付は不明だが”Take It Away”と”Wanderlust”のデモも作られたと言われている

1981年2月
・2月3日、モントセラトのAIRスタジオにて、ポール、デニー・レイン、デイヴ・マタックスで以下の曲のレコーディング、”Average Person”, “Dress Me Up As A Robber”, “The Pound Is Sinking”, “Hear Me Lover”
・2月8日、スタンリー・クラーク、スティーヴ・ガッドが参加、数日間で以下の曲をセッション、”Somebody Who Cares”, “The Pound Is Sinking”, “No Values” ,”Hey Hey”
・2月15日、リンゴ・スターが参加。スティーヴ・ガッドと”Take It Away”で共演
・2月21日、ポールが憧れていたカール・パーキンスと共演、”Get It”を録音した他、オールディーズ・ナンバーの”Honey Don’t”, “Lend Me Your Comb”, “Boppin’ The Blues”をプレイ。
・2月26日、スティーヴィー・ワンダーが参加し、”What’s That You’re Doing?”を一緒に作り、”Ebony And Ivory”とともに録音を行う。3月2日まで仕事をし、モントセラトを後にする。

1981年3月
・場所を再びロンドンのAIRスタジオに戻し、3月12日には”Tug Of War”, “The Pound Is Sinking”, “No Values”の作業を行う
・3月23日~30日、”Take It Away”, “Dress Me Up As A Robber”, “Keep Under Cover”のオーバーダブ、その他以下の曲のレコーディング及びミックスを実施、”Get It”, “No Values”, “Ebony And Ivory”, “Tug Of War Reprise”, “What’s That You’re Doing?”, “Wanderlust”, “Keep Under Cover”, “The Pound Is Sinking”, “All The Love There Is”, “Sweetest Little Show”
・この時期のレコーディングからデニー・レインは姿を見せなくなり、10CCのエリック・スチュワートが参加するようになる。彼はその後ポールの80年代には欠かせない存在となっていく。

1981年4月
・4月27日、デニー・レインがウイングス脱退を発表。

1981年5月
・マイケル・ジャクソンがレコーディングに参加し、”Say Say Say”と”The Man”を録音する

1981年6月
・アルバム『タッグ・オブ・ウォー』収録予定曲のミックスとオーバーダブを実施

1981年7月
・引き続き、『タッグ・オブ・ウォー』収録予定曲のミックスとオーバーダブを実施

1981年8月
・ポール、『タッグ・オブ・ウォー』収録曲として、”Keep Under Cover”, “Tug Of War Reprise”, “No Values”の3曲を入れるかどうか考え直す。
・正確な日付は不明だが、ジョン・レノンへ捧げた曲 “Here Today”のレコーディング

1981年10月
・アルバム『タッグ・オブ・ウォー』のリリースを10月と予定していたが、レコーディング作業が残っているため翌年の2月15日へリリースの予定を変更する(2月もレコーディングで延期となる)

1982年3月
・今度はアルバムジャケットに問題が発生してリリースがさらに遅れる
・3月29日、シングル「エボニー・アンド・アイボリー」がリリース

1982年4月
・4月26日、アルバム『タッグ・オブ・ウォー』がリリース。発売2週目で全米No.1となる。

以上が、アルバム『タッグ・オブ・ウォー』時期のレコーディングセッションの大まかな記録である。”Somebody Who Cares”や “Be What You See”が録音された時期が不明だが、今後判明したら追記していこうと思う。また、記載に誤りがあったら指摘してくれると嬉しいです。
『パイプス・オブ・ピース』は『タッグ・オブ・ウォー』の続編というようなことは昔から聞いていたが、こうしてレコーディングを時系列に並べてみるとそれがよく分かるね。

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