チョコクロワッサン日記6

あれは20代の前半の頃だったか。俺は当時はまだそれほど多くはないフリーターという身分だった。それまでのバイトを辞めて次の仕事を探していた時だ。

その頃は主に「フロムA」でバイトを探していた。そこに西新宿のロックビデオを販売する会社の募集があった。たしか内勤で社員というものだった。

これだ!俺はそう思い履歴書を書いて電話して面接の日取りを決めた。ロックのビデオで西新宿で売ってるものだからどうせブートレグだろ、まあそんな仕事なわけだからと俺はTシャツにGパンで面接に臨んだ。

事務所みたいなところでは女の人が2人ほど事務仕事をしてた。そこで待たされて出てきたのはひとりのおっさん。一通りのやり取りをしたあと、そのおっさんは俺にこう言った。

「仕事の面接だというのになんでそんな格好で来た?扱うものがロックのだからだらしない格好でもいいと思ったのか?」と。

俺は言葉に詰まった。内心「当たり前だろおい」と思ったものの、何を言ったのか覚えてないが、その後もおっさんからの説教みたいのを喰らって面接は終了。

なんだよ、ブートビデオの販売の分際で偉そうにと、俺はそんな風にふてくされながら、当時付き合ってた女を待たせていたので待ち合わせをして「多分ダメだ」と言った。

家でも母親に「当たり前でしょ、どんな仕事でもちゃんとした格好しなきゃダメだ」みたいなことを言われたが、当時の俺はそんなのクソ喰らえと思ってて聞く耳を持たなかった。

でも今なら分かる(いや、30ぐらいの時から分かってるわ!)、その時募集していたのは社員であって、俺もそれを望んで面接に行ったわけなんだよ。それを説教されて返されたものだから確か内心情けない思いを感じていたんだよね、強がってそんなのは絶対に表には出さなかったけど。あの時のおっさん同様、当時の俺に説教してやりたいわ。

後日、その会社から電話があって、西新宿にある店舗で「バイト」としてなら雇うと言われた。だけど俺は面接が終わった後からずっとふざけんなクソがと思っていたので断った。当たり前だろ、あんだけ説教されてバイトなんかでやれるかよ、こっちから払い下げだなんて思っていたんだよね。つくづくバカだよな。

もしあの時ちゃんとしていたら、今の俺の生活は違ったものになっていたのかねぇ。時々そんなことを思い出すが、知るかよバカって結論で終わらせてしまうところは変わってないな、しょうもないおっさんだわ。