レッド・ツェッペリン『コーダ』のリマスター

Led Zeppelin / Coda
Led Zeppelin / Coda

『コーダ』はレッド・ツェッペリン解散後、1982年にリリースされたアルバムで、これまでのアルバムに収録されなかったアウトテイクで構成されている。ジョン・ボーナムへの追悼の意味もあったが、スワン・ソング(彼らが立ち上げたレーベル)は、アトランティック・レコードと5枚のレコード・リリースという契約があったので、その消化も兼ねてだったのだろう。ちなみに、レッド・ツェッペリンのアルバムをアルバム・チャート(CashBox)でリアルタイムで見たのがこのアルバムだった。同じ時期にロバート・プラントのファースト・ソロ・アルバム『11時の肖像』の発売が控えていたから、発売日をずらしたんじゃなかったかな。

Disc 1:Original Album
01. We’re Gonna Groove
02. Poor Tom
03. I Can’t Quit You Baby
04. Walter’s Walk
05. Ozone Baby
06. Darlene
07. Bonzo’s Montreux
08. Wearing And Tearing

収録は8曲。冒頭の01は今でこそロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ音源からってことが判明しているけど、アルバムのライナーではどこかのスタジオで録音したみたいな記述がされていたんだよね。同じライヴ音源からの03もリハーサル音源とかなんとか。02は『Ⅲ』のアウトテイクで、『Ⅲ』の曲の並びを考えると、A面にもB面にも入れずらい曲であることは確かだなって思う。04は『聖なる館』のアウトテイクだけど、ヴォーカルは80年代になって録音しなおしたものって言われているそうで、そう言われてみると、『聖なる館』よりもプラントのソロ・アルバムあたりの声質に近いものはある。05、06、08は『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』のアウトテイクで、このレコーディングでは実に多彩なタイプの曲を作っていたんだなと思わせる。そして07はジョン・ボーナムとジミー・ペイジの2人で録音したものらしく、ペイジ曰くブラジルのパーカッションの集団をボンゾひとりで表現させたものらしい。ところで、冒頭の01と02の曲間がちょっと広がったような気がするんだけど気のせいだろうか?そして07では冒頭にカウントが収録されているね。LP時代ではなかった気がする。

Disc 2:Companion Audio
01. We’re Gonna Groove (Alternate Mix)
02. If It Keeps On Raining (When The Levee Breaks) (Rough Mix)
03. Bonzo’s Montreux (Mix Construction In Progress)
04. Baby Come On Home
05. Sugar Mama (Mix)
06. Poor Tom (instrumental Mix)
07. Travelling Riverside Blues (BBC Session)
08. Hey, Hey, What Can I Do

Disc 3:Companion Audio
01. Four Hands (Four Sticks) (Bombay Orchestra)
02. Friends (Bombay Orchestra)
03. St. Tristan’s Sword (Rough Mix)
04. Desire (The Wanton Song) (Rough Mix)
05. Bring It On Home (Rough Mix)
06. Walter’s Walk (Rough Mix)
07. Everybody Makes It Through (In The Light) (Rough Mix)

すでに初期のアウトテイク等は『フィジカル・グラフィティ』に収録されたりしていたので、さらにそれを補うような形で『コーダ』は編集されたという印象がある。だけどまだあるだろうというコレクターの欲求からブートレグ界では盛んに出回っていた楽曲たちが今回のリマスター・プロジェクトによって、コンパニオン・オーディオに収録された。その極め付けとしてこの『コーダ』には2枚のコンパニオン・オーディオが付いている。なんでもペイジは今回のリマスター・プロジェクトではこの『コーダ』をいちばんに考えて作業してきたそうだ(ロッキング・オンのインタビューより)。

Disc2では、かつて1993年に「コンプリート・スタジオ・レコーディングス」として再発された際にこのアルバムにボーナス・トラックとして収録された04、07、08を含む初期のアウトテイク集。1stの録音時点で2曲もお蔵入り(04と05)があったなんて今回初めて知った。Disc3の目玉はこれまたブートレグでは超有名だった1972年のボンベイ・オーケストラとのセッションによる01と02。インドに赴いた際に現地のミュージシャンとセッションをしたらしいが、インド人は時間にルーズで酒ばかり飲んでたので結局は形にならず、この2曲を演奏しただけのようだ(ブートレグでは02の30分に渡るセッションの様子が記録されているのがある)。他にも初めて聴くものばかりなので満足度はかなり高い。でも2枚のコンパニオン・オーディオでトータル64分なら1枚に収められたのにね。

ロッキング・オンでのジミー・ペイジへのインタビューによると、これで今回のリマスター・プロジェクトは終わりのようで、ライヴのアーカイヴなどについては特に考えていないらしい。ちょっと残念な気もするが、例えばBBCセッションを全部出すとか、そういうことは期待してもいいんじゃないかと思っている。こうして全部を聴いてみると、いままでブートレグで散々出回っていた(であろう)スタジオ録音の音源を正規にリリースしたことに今回は意味があるんじゃないかと。だから『コーダ』は3枚組になるほど力が入っていたんだろうなって思うわけです。

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