レッド・ツェッペリン『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』のリマスター

Led Zeppelin / In Through The Out Door
Led Zeppelin / In Through The Out Door

さて、1979年発表の8枚目のスタジオ・アルバム”In Through The Out Door”である。これが前作から3年ぶりのリリースとなっているのは、1977年にロバート・プラントの息子が亡くなったことにより、しばらくは公衆の面前に姿を見せず、ツェッペリンは活動休止となったからだ。1978年からリハーサルを開始するも、ジミー・ペイジが不調だったことから、ジョン・ポール・ジョーンズが主導権を握った。そのおかげで、シンセサイザーも含まれた多彩なアルバムが誕生したのだった。

Disc 1:Original Album
01. In The Evening
02. South Bound Saurez
03. Fool In The Rain
04. Hot Dog
05. Carouselambra
06. All My Love
07. I’m Gonna Crawl

このアルバムを初めて聴いたのは19歳かハタチの時で、それまで抱いていたツェッペリンのイメージとは違ったので「なんだこれ」と思わず言ってしまった記憶がある。いや、”In The Evening”は「らしい」から安心して聴けたけど、02からやや雲行きが怪しくなって03のラテンっぽさに苦笑してしまったのです。だけどB面(05以降)はとても素晴らしく、特にプラントの亡くなった愛息へ向けた”All My Love”はツェッペリン史上でも3本の指に入る美しさなんじゃないかと思っている。今となってはA面も良いなって思うし、なんだかんだ言いながらも『プレゼンス』より聴いている気がするんだよね。

Disc 2:Companion Audio
01. In The Evening
02. Southbound Piano (South Bound Saurez)
03. Fool In The Rain
04. Hot Dog
05. The Epic (Carouselambra)
06. The Hook (All My Love)
07. Blot (I’m Gonna Crawl)
-Rough Mixes of Work In Progress

ディスク2のコンパニオン・オーディオは、アルバムの制作途中のラフ・ミックスを全曲分揃えた内容で、正直面白味がない(まだ聴きこみが足りないからかもしれないけど)。04の”Hot Dog”なんかはいかにもラフだなって雰囲気ではある。未発表曲の類はレコーディング時からなかったのだろうか?この時期のブートはあまり聴いたことがないのでよく分からない。

ところでこのアルバム、アナログ時代は紙袋に入れられていて、中に入っているジャケットは6種類あったとのこと。今回のリマスターでそれがどう再現されるか楽しみだったけど、結局は1種類だけのようでちょっと残念。だけど紙袋を再現してくれたからいいかなと。

レッド・ツェッペリンは1980年9月25日にジョン・ボーナムの死によって、その活動が終了となったわけだけど、もしこのまま80年代に突入していたらどんな音楽を展開していっただろうか、これは時々考えてしまうのだけど、80年代というとパンクの洗礼を受け、MTVという新しいメディアの登場によって、それまで活躍していたバンド、ミュージシャンたちの多くは方向性を変えざるを得ない状態になっていったからね。『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』を聴くと、なんだか怪しい方向へ向かって行ったかもなと思う反面、ジミー・ペイジがやる気を出せば70年代と変わらぬクオリティを出していたかもって思うんだよね。ただひとつ予想できるのは、MTV向けに1曲が短くてコンパクトなアルバムを出していたかもって。それでちょっと低迷して、90年代に復活みたいなね。クィーンみたいな感じで。

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