シカゴ / シカゴの軌跡

Chicago Transit Authority
Chicago Transit Authority

シカゴの結成は1967年、このときはザ・ビッグ・シングというバンド名で活動していて、
カバー曲を演奏するショウ・バンドとして活動していた。当時のメンバーは

テリー・キャス(ギター)
ロバート・ラム(キーボード)
ジェイムス・パンコウ(トロンボーン)
ウォルター・パラゼイダー(サックス)
リー・ロックネン(トランペット)
ダニエル・セラフィン(ドラム)

の6人で、クラブまわりの中で別のバンドにいたピーター・セテラ(ベース)を加えた7人編成となる。
その後プロデューサーとなるジェイムズ・ガルシオと契約した際にグループ名を
シカゴ・トランジット・オーソリティと変更した。
そして1969年にリリースしたのがこの『シカゴの軌跡(Chicago Transit Authority)』で、
新人バンドのアルバムにも関わらずアナログ2枚組という大作なのがすごい。
レコード会社(コロムビア)もよく受け入れたよなと思ったら、グループが印税いらないとか
そんなような条件を飲んだと読んだことがある。

Chicago Transit Authority (1969)
01. Introduction
02. Does Anybody Really Know What Time It Is?
03. Beginnings
04. Questions 67 and 68
05. Listen
06. Poem 58
07. Free Form Guitar
08. South California Purples
09. I’m A Man
10. Prologue, August 29, 1968
11. Someday(August 29, 1968)
12. Liberation

シカゴ・トランジット・オーソリティのコンセプトは「ホーンの入ったロック」というのが最初からあったが、このアルバムではホーンよりもテリー・キャスのギターの比重がとても大きいように思える。06の間奏のジミヘンのような演奏や、07のノイジーな即興など、バラードのシカゴのイメージで聴いたらこれはもう全然別のバンドだと思っちゃうだろうね。

01からテリーの野太い声で歌われるし、この時点ではピーター・セテラのヴォーカルはまだ出番が少ない。02で邦題は「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」という長いタイトルだが、個人的にはこの曲がアルバム中のベスト。歌っていることはシリアスなんだけど、
楽曲が70年代のシカゴに相応しいホーンの絶妙なバランス具合が良い。

09はスペンサー・デイヴィス・グループ(スティーヴ・ウィンウッドが在籍)のカバーで、ここではキャス、ラム、セテラの3人が順番にヴォーカルをとっていて、これはライヴでも必ずやっている曲。そしてこのアルバムが政治色強いというのは10から12にかけての流れなんじゃないだろうか。1968年8月29日というのはアメリカ合衆国大統領選挙にともない、シカゴで行われた民主党大会が暴徒と化し、流血騒ぎに発展したことを10と11で歌っている(10は騒乱のSEみたいなもの)。そして12で「解放」とか、ちょっとしたコンセプトを感じてしまう。
ちなみに12は16分余りもあるインストゥルメンタル。

シングルとしては02と04がカットされたようだけど、当時はヒットせず後に『シカゴⅡ』が出てから02がヒットしたようだ。このアルバムの発表後、シカゴ交通局よりグループ名にいちゃもんが入って、単純にシカゴと名乗るようになったというのは基礎知識ですね。

すごくいいアルバムだけど、結構重く感じるので通して聴くのはなかなかしんどいかもね。でもシカゴというバンドを知るには必聴であることには変わらない。

コメント

  1. GAOHEWGII より:


    hiroumi 様

    こんばんは
    自分は初期ばっかり聴いていたので、
    このアルバムは大好物です。
    確かにギターの方が目立っていますよね。

    ロックにとっても激動の時代で
    それを反映したドロドロとした熱気が感じられるのがたまりません。

  2. hiroumi より:


    GAOHEWGIIさん

    このアルバムはものすごくストイックな空気を感じます。
    歌詞はあまり言及することができないのですが、
    ロバート・ラムが結構辛辣だと雑誌で読んだことがあって、
    優しそうな印象をもっていたので意外です。

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