ビートルズの”The U.S. Albums”のこと(その2)

ビートルズのリリース歴

ようやく1965年に入れますw

キャピトル・レコードは”Please Please Me”に相当するレコードを出していない。
なぜなら、キャピトルが契約を渋ったことでマイナー・レーベルであるVee Jayという
レーベルが”Introducing The Beatles”というアルバムの販売権を持っていたからだ。
しかしキャピトルがVee Jayからビートルズの販売権を得たことでリリースできたのがこれ。

The Early Beatles
The Early Beatles
01. Love Me Do
02. Twist And Shout
03. Anna(Go To Him)
04. Chains
05. Boys
06. Ask Me Why
07. Please Please Me
08. P.S. I Love You
09. Baby It’s You
10. A Taste Of Honey
11. Do You Want To Know A Secret
12-22. 上記のステレオ・バージョン

曲はすべて”Please Please Me”に収録されているもので、
これならイギリス盤を聴いたほうがいいなと思う。
このアルバムが1965年の3月リリースで、その3か月後には次のアルバムが出ている。

Beatles VI
Beatles VI
01. Kansas City~Hey, Hey, Hey, Hey!
02. Eight Days A Week
03. You Like Me Too Much
04. Bad Boy
05. I Don’t Want To Spoil The Party
06. Words Of Love
07. What You’re Doing
08. Yes It Is
09. Dizzy Miss Lizzy
10. Tell Me What You See
11. Every Little Thing
12-22. 上記のステレオ・バージョン

これは良い意味で凄い内容だと思う。
まず”Beatles For Sale”の残りの曲(01、02、05、06、07、11)と、
イギリスでもまだリリースされていない”Help!”から3曲(03、09、10)、
そしてイギリスではシングルでしか聴けない(08)とベスト盤”Oldies”に収録されるまで
聴くことができなかった(04)という構成。個人的にはこのアルバムは好きになった。

そしてビートルズ2作目の映画”Help!”に伴い、
イギリスでもアメリカでも同名のサントラとしてアルバムがリリースされるが
もちろんアメリカ盤は一筋縄ではいかない。

Help!
Help!
01. Help!
02. The Night Before
03. From Me To You Fantasy
04. You’ve Got To Hide Your Love Away
05. I Need You
06. In The Tyrol
07. Another Girl
08. Another Hard Day’s Night
09. Ticket To Ride
10. The Bitter End
11. You’re Gonna Lose That Girl
12. The Chase
13-24. 上記のステレオ・バージョン

イギリス盤からは7曲(01、02、04、05、07、09、11)と残りの5曲(03、06、08、10、12)は
オーケストラによるインストゥルメンタル曲で構成されている。インスト曲ではシタールも
使われていたりして面白いのだが、やっぱりビートルズの曲で占めたイギリス盤の方が強力
なのは言うまでもないだろう。

ビートルズはアイドル・バンドから抜け出し、徐々に作風が変わっていくが、
その最初のアルバムと言ってもいいであろう”Rubber Soul”をリリース。

Rubber Soul
Rubber Soul
01. I’ve Just Seen A Face
02. Norwegian Wood
03. You Won’t See Me
04. Think For Yourself
05. The Word
06. Michelle
07. It’s Only Love
08. Girl
09. I’m Looking Through You
10. In My Life
11. Wait
12. Run For Your Life
13-24.上記のステレオ・バージョン

ジャケットこそイギリス盤と同じ(タイトルの色が違うけど)だが、
イギリス盤では1曲目が”Drive My Car”で始まるところが、”Help”収録の「夢の人」から
始まるというまるっきり印象の違うものとなっている。その”Help”からは2曲(01、07)で、
あとはイギリス盤と同じ曲が入っているものの、全体的にフォーク・ロック的な感じ。
因みに”I’m Looking Through You”のステレオ・バージョンはイントロを2回間違えている
バージョンで、2009年マスターに差し替えられずに済んでいるので良かった。

ビートルズとしてはキャピトルにことごとくアルバムの内容を変えられてしまい、
本人たちの意図したものとは違うことにいい加減フラストレーションが溜まっていたかもしれない。
その鬱憤を晴らすためにこうしたのか分からないけど、ジャケットが問題となったアルバムがこれ。

Yesterday And Today
Yesterday And Today
01. Drive My Car
02. I’m Only Sleeping
03. Nowhere Man
04. Dr. Robert
05. Yesterday
06. Act Naturally
07. And Your Bird Can Sing
08. If I Needed Someone
09. We Can Work It Out
10. What Goes On?
11. Day Tripper
12-22. 上記のステレオバージョン

「ブッチャー・カバー」で後々まで有名となるアルバム。
“Help!”からの曲(05、06)、”Rubber Soul”の残りの曲(01、03、08、10)
そしてイギリスでまだリリースされいてない、後の”Revolver”にはいる曲(02、04、07)、
さらにシングルの2曲(09、11)で構成されている。
もうキャピトルのやりたい放題な編集だが、この曲順も悪くないと思ってしまう。
(ブッチャー・カバーについては前に書いたものを参照ください)

Revolver
Revolver
01. Taxman
02. Eleanor Rigby
03. Love You To
04. Here There And Everywhere
05. Yellow Submarine
06. She Said, She Said
07. Good Day Sunshine
08. For No One
09. I Want To Tell You
10. Got To Get You Into My Life
11. Tomorrow Never Knows
12-22. 上記のステレオ・バージョン

このアメリカ盤”Revolver”はイギリス盤から”Yesterday And Today”に持って行かれた
3曲を抜いた11曲という、聴く価値あるのと言いたくなるような内容となっている。
しかも3曲はすべてジョンの曲だから、このアメリカ盤”Revolver”でのジョンの貢献は
たったの2曲というね・・・何やってんのキャピトルと思ってしまう。
しかしあえて擁護するなら、アメリカ盤は”Rubber Soul”、”Yesterday And Today”そして
“Revolver”と順番で聴くとフォーク・ロックからサイケデリックな方向へ向かって行ってるなと
いうのが垣間見えて面白いと思う。

“Sgt. Peppers”以降はイギリス盤、アメリカ盤で内容がついに統一されることになったので、
キャピトル独特の編集というのは無くなった。
ただし”Magical Mystery Tour”はイギリスではEPとしてリリースされたので、シングルを加えた
LPとしてキャピトルがリリースしたものがスタンダードとなっている。
そしてビートルズ活動中にキャピトルからもう1枚編集盤が出ている。

Hey Jude
Hey Jude
01. Can’t Buy Me Love
02. I Should Have Known Better
03. Paperback Writer
04. Rain
05. Lady Madonna
06. Revolution
07. Hey Jude
08. Old Brwon Shoe
09. Don’t Let Me Down
10. Ballad Of John And Yoko

このアルバムは1970年にリリースされている。大ヒットしたタイトル曲が入った
アルバムが無かったからこれは良い編集盤だと思うけど、冒頭2曲が初期の曲でちょっと違和感。

以上がアメリカ、キャピトル・レコードがリリースしたアルバムだが、
どうせならハリウッド・ボウルのライヴ盤とか、ここまでのアメリカ盤では曲がまだ足りなくて、
後に出た”Rarities”もCD化して欲しかったというのが正直なところ。
もしかして解散後のコンピレーションとして計画されているとか!?

前回ちょっと書いたけど、アメリカ盤ではイギリス盤とはエコーのかかり方だったり、
ステレオが疑似ステレオだったり、微妙にテイク違いが使われていたりという
マニアックなものがたくさんあったのに、2009年マスターをつかったことで
それがほとんど反映されていないのは残念だが、今までアメリカ編集盤って
まったく聴いたことがなかったから、これはこれで面白くて満足している。

さて、そろそろ『レット・イット・ビー』のDVD化をお願いしますよ。

今回記事を書くにあたって以下を参考にしました、ありがとうございます。
・レコードコレクターズ増刊 ザ・ビートルズ コンプリートワークス①
・レコードコレクターズ増刊 ザ・ビートルズ コンプリートワークス②
・レコードコレクターズ増刊 The Beatles Materials Vol.1 The Beatles

コメント

  1. GAOHEWGII より:


    hiroumi様 こんばんは

    今回の復刻はマニアに取っては念願だったのでしょうね。
    正直、曲順だけなら(アレンジが忠実に再現されていないのなら尚更)
    デジタル・プレイヤーでちょちょいのちょいで
    疑似体験できると思います。

    やはりジャケを眺めるロマン込みですね。

  2. hiroumi より:


    GAOHEWGIIさん

    そうなんですよね、曲順だったらイギリス盤を持っていれば
    疑似編集できるのです。

    ブツ込みでの楽しみです、今回のUS盤は。
    でも『フォー・セール』よりも『ビートルズⅥ』の方が断然多かったりしますw

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