パブリック・エナミー “Fear of a Black Planet”を聴いた頃の話

Public Enemy / Fear of a Black Planet
Public Enemy / Fear of a Black Planet

01. Contract On The World Love Jam (Instrumental)
02. Brothers Gonna Work It Out
03. 911 Is A Joke
04. Incident At 66.6 FM (instrumental)
05. Welcome To The Terrordome
06. Meet The G That Killed Me
07. Pollywanacraka
08. Anti-Nigger Machine
09. Burn Hollywood Burn
10. Power To The People
11. Who Stole The Soul
12. Fear Of A Black Planet
13. Revolutionary Generation
14. Can’t Do Nuttin’ For Ya Man
15. Reggie Jax
16. Leave This Off Your Fu*kin Charts (Instrumental)
17. B Side Wins Again
18. War At 33 1/3
19. Final Count Of The Collision Between Us And The Damned (Instrumental)
20. Fight The Power

1990年リリース、パブリック・エナミー(以下、PE)の3枚目のアルバム。このアルバムのことは過去にも書いたことがあって、繰り返しになってしまうけどいまいちど。

俺がこのアルバムを知ったのは当時読んでいたロッキング・オンの新譜のレビューで。その冒頭にはこう書かれていた「もしあなたが今ハードロックを聴きたいなら、このパブリック・エナミーのアルバムを聴けばいい」と。その時22歳になろうとしていた俺には、PEは「ラップ」のグループって認識しかなかった。だから「ハードロック」と書かれたそのレビューで、まったく聴いたことがないPEに興味を持ってすぐにCDを買いに出かけた。当時の俺は、ヒットチャートにのぼってくるようなヒップホップはちょっとだけ聴いていて、言葉はまったく分からなかったけど、バックトラックのサンプリングやスクラッチにすごく魅力を感じていた。でも、チャートに入ってくるようなのだから、基本的にパーティ・ラップが多かった。

CDを買って帰って来た俺は早速プレーヤーに入れた。1曲目はインストゥルメンタルだけど、スクラッチと低音のドスドスいう音ですぐに引き込まれ、次の”Brothers Gonna Work it Out”でぶっ飛んだ。ロッキング・オンで言ってた「ハードロック」というのは間違っていなかったと2曲で確信。その後も圧倒的な音の洪水と、チャックD、フレイヴァー・フレヴによる唾が飛んできそうなラップにひたすらやられてしまった。その頃他に何を聴いていたのか今ではあまり思い出せないが、この年いちばん聴いた「ロック」なアルバムだったと記憶している。

当時のヒップ・ホップのアルバムの日本盤には歌詞対訳なんてついてなく、このアルバムも例外ではなかった。ただ、応募券みたいなのがついてて、それを送ると後に各曲の解説みたいなのが郵送されてきた。”911 is a Joke”は白人優先で黒人の住むところには決して来ない「911」(日本の119番)を痛烈に皮肉っているし、”Burn Hollywood Burn”は黒人に悪い役ばかりさせるハリウッド映画への怒りを向けているなど、終始怒りが満載。ヒップ・ホップでもあるし、ロックでもあるし、そしてパンクでもある。あの頃の俺はそう感じながら何度も何度も聴いていたな。

そしてスパイク・リーが監督した映画”Do The Right Thing”の主題歌でもあるラストの”Fight The Power”は今聴いても強烈な破壊力があると思っている。

今もずっと思っているけど、PEのトラックの音圧はハンパ無い。2ndアルバムに”Bring the Noise”というのがあるが、まさにノイズ。それは『メタル・マシン・ミュージック』とかとはまた違う意味でのノイズだけど、でも根底は同じ。いや、きっとこれは俺にとってということかもしれないけど。

当然その後の俺はPEのアルバムを遡って聴いてきたけど、最初の3枚に至ってはアナログも購入した。そしていつだったかアナログプレーヤーとMDウォークマンを繋げてMDに録音したのだけど、音の調節がちゃんとしてなかったために、録音されたものは音がでかくて割れていた。
だけどその割れた音がとても合っていた。PEは良いオーディオで聴くよりも、カセットに録音してラジカセでデカイ音で鳴らすほうがさらにカッコいいんじゃないかって思ったりしている。これぞヒップ・ホップって感じで。

とにかく下手なロックを聴くよりはこのアルバムを聴いたほうがいろいろと満たされるね。

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