ピンク・フロイド “The Dark Side Of The Moon” のボックス・2

昨日に引き続き、ピンク・フロイド『狂気』(”The Dark Side Of The Moon”)のことです。
今回は各ディスクについて記していこうかと思っています。
とは言っても、ざくっとした感想程度なので、音の細かいことなんかは他をあたってください。
それにしても上の写真のかっこいいこと・・・・ブックレットに載っていたのですけどね。
本当に彼らはレコードだけではなく、ステージ上でも「雰囲気」作りがうまいと思いますよ。

DISC1 – CD album

ディスク1はアルバム”The Dark Side Of The Moon”の2011年リマスター。
俺は他に2003年のリマスターを持っているのですが、両方ともiTunes に128kbpsで
インポートしてiPod で聴いてみたけれど、あまり違いは感じられず。
2011年盤がときどききめ細かい音だなって感じた程度と、あと”Time”でのギターの音が
若干ノイジーだなって思ったぐらいかな。
どうせなら90年代にリリースされた盤と聴き比べてみたかった。

DISC2 – CD live at the Empire Pool, Wembley, London 1974

2枚目は1974年のロンドンで行われたライヴから。
当時は第1部で『狂気』全曲を行い、第2部でその他の曲をやるというパターンで、
このエンパイア・プールでのライヴってのはブートレグでも有名すぎる音源。
俺もかなり音のいい音源を持っているけど、やっぱり正規盤にはかないません。
基本的にスタジオバージョンが好きだけど、ライヴでは”On The Run”のVCS3ってシンセサイザーですか、
あれがスタジオよりも荒くて、それこそ走り回るような感じが好きですね。

DISC3 – DVD audio

3枚目はDVDでオーディオのみの収録。
アルバムの2003年にミックスした5.1chが448kbps と640kbps の2種類と、
LPCMのステレオミックス(デジタル変換した未圧縮のデータってこと)、
そして、4chのクァド・ミックスが448kbps と640kbps の2種類。
俺はずっと5.1chのサラウンドでこのアルバムを聴くことを期待してきました。
で、実際聴いてみると・・・・期待したほどサラウンドの恩恵は感じられない・・・。
もちろん、通常の2chのCDよりは音の厚みや情報量は圧倒的だけど、
もっとこう・・・・音がグルグル回ってくれると思ったのが期待はずれだった。

それとは逆に、クァド・ミックスが素晴らしすぎる!
これは、1973年にアラン・パーソンズがミックスしたもので、
日本でもほんの一時期、4チャンネルシステムが出たらしいけど、短命で終わったようで、
その4チャンネル向けのものだそうだ。
このミックスのほうがサラウンドの効果(?)が出ていて、音が四方から飛んでくる。
しかも、曲によっては通常のアルバムとは違って聴こえる曲もあって、これは興奮した。
ボックスを未だに迷っている人は、これのために買うことをオススメしたい。

DISC4 – DVD

こちらは映像が収録されている。
まずは1972年のライヴから、「ユージン、斧に気をつけろ」と「太陽賛歌」の2曲。
前者は何度か見たことがあるけど、こうして所有できるというのは嬉しいところ。
次に入っているのが”The Dark Side Of The Moon 2003 Documentary”と題した、
アルバムの裏話なんかが聞けるドキュメンタリー。
実は俺はまだこれを見ていないんだけど、輸入盤にもかかわらず日本語字幕があるそうで、
これはまた見てからコメントしたい。
そして”Concert Screen Films” は、当時の『狂気』のツアーで、ライヴのバックに流していた映像を集めたもの。
1974年のブリティッシュ・ツアーとフランス・ツアー、そして1975年の北米ツアーで使用した
映像が納められている。本人たちの演奏シーンじゃないのが残念。
でもこういう映像って、今VJたちがやっているようなことだよね、元祖みたいだな。

DISC5 – Blu-Ray

5枚目はブルーレイ・ディスクで、先のDVD2枚を収録したもののようだ。
一応、テレビで再生できるので、これもあとで確認してみる予定。

DISC6 – CD Previously Unreleased Track

6枚目は再びCDで、ここにはレア・トラックが入っている。
まずはアルバムのアーリー・ミックス。最初の”Speak To Me”がなく、”Breathe”から始まる。
“The Great Gig In The Sky”ではスキャットがなく、”Us And Them”はピアノとサックスがメインのバージョン、
そして”Brain Damage”では、挿入されている笑い声が違うなど、アルバムとはかなり違った印象を受ける。

そしてある意味このボックスの目玉といえるもののひとつが”The Hard Way”という曲。
これは『狂気』の後に予定されていた”Household Objects”というアルバムのために録音されていた曲で、
コンセプトが「楽器を一切使わない」というとんでもないものだった。
輪ゴムやビンを使った・・・などと雑誌にはよく書かれていたけど、音源が存在しているとは。
この曲に関しては、何を使ってレコーディングしたのかわからないけど、
ミュージック・コンクレート風ではあるけど、一応曲にはなっているという不思議な感じ。

そして残りはデモや別テイクなどで、前にも書いたことがあるけど、
このアルバムはリリースされる1年も前からライヴで披露されて、徐々に形を変えてきた。
“On The Run”の前身となる”The Travel Sequence”や、”The Great Gig In The Sky”の
前身である”The Mortality Sequence”なんかが収録されいる。
でもこの辺はどうせならね、初期バージョンとしてライヴ全部を入れてほしかったよな。

以上が、この箱に入っているディスクについてでした。
それにしても、”The Dark Side of The Moon”ってタイトル「月の暗い部分」みたいな感じだけど、
ラストの”Eclipse”では「月に暗部は存在しない、すべては闇に包まれている」って
歌われているところなんか、最後の最後でアルバムタイトルを否定しているようで、
なんか哲学的なものを感じるよな・・・・。
まあ普段はそんなことは考えず、音とSEとかに圧倒されっぱなしだけどね。
当分これは聴きまくりそうだよ。

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